スポーツドクターの中村格子先生と高尾美穂先生に、運動で心拍数を上げるとなぜ良いのかといった疑問に答えていただきました。
Q 運動で心拍数を上げるとなぜいいの?
A 最大酸素摂取量が高まり、持久力が上がるから
「運動で心拍数を上げることを習慣にすると、最大酸素摂取量が高まり持久力が上がります。最大酸素摂取量は、運動中に体に取り込まれる酸素の最大量で持久力の指標。
1分間の最大心拍数は、60歳までなら「220-自分の年齢」で出すことができ、50歳の場合は170。
有酸素運動なら、この最大心拍数と自分の平常時の心拍数の間の60〜70%に心拍数を上げると脂肪燃焼に効果的。70〜90%まで上げると、その人にとってややきつめになり、適度な運動に」(中村格子先生)
Q 階段の上り下りだけでもOK? 行うときの注意点は?
A 下半身を鍛えられるのでOK。ただし、膝への負担に注意
「階段の上り下りは太ももや膝の運動になり、筋力アップに効果的ですし、有酸素運動でもあるので、普段エレベーターやエスカレーターでなく階段を使うようにするだけでも運動になります。
また、上りのほうは心臓の位置が上に上がっていきますが、これによって自律神経が刺激され、その後、自律神経のバランスが整いやすくなります。
ただ、下りるときは落ちないように止める動作をするので、膝に負担がかかりがち。膝に痛みがある人は、上る動きのほうを積極的に行うといいと思います」(高尾美穂先生)
Q 足首が硬くて運動しづらい。よい対策は?
A ウンチングスタイルをしましょう
「足首が硬い人におすすめなのが、和式トイレの姿勢=ウンチングスタイル。足首が硬いのは、ふくらはぎの筋肉が短くなっているせいで関節の可動域が狭くなっているから。
ウンチングスタイルをするとふくらはぎの筋肉が伸び、足首の関節の可動域が広がって柔軟に。できない人は最初は椅子などにつかまって行って」(高尾先生)
●ウンチングスタイルでふくらはぎを伸ばして
●できない人は…
椅子の背など安定しているものにつかまり、お尻を出してゆっくりとしゃがんでいきます。続けると徐々にしゃがめるように
答えてくれたのは
整形外科医
中村格子さん
Kakuko Nakamura
Dr.KAKUKOスポーツクリニック理事長。医学博士。スポーツドクター。日本オリンピック委員会(JOC)医学サポートスタッフ。日本体操協会専任メディカルスタッフ(新体操)。近著(共著)に『整形外科医がすすめる一生スタスタ歩けるフリフリ体操』(学研プラス)
産婦人科医
高尾美穂さん
Miho Takao
イーク表参道副院長。医学博士。スポーツドクター。ヨガ指導者。診療の傍ら、アプリstand.fm「高尾美穂からのリアルボイス」でリスナーの多様な悩みに回答し、510万再生を超える人気に。著書に『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)など
撮影/藤澤由加 イラスト/いいあい 取材・原文/和田美穂