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インフルエンザ検査で「陰性」でも「本当はかかっている」可能性あり?/健康情報の見極め方クイズにトライ!

「健康情報の見極め方」についての増田美加さんと市川衛さんの対談に続いて、最終回は、お二人からの健康情報クイズです! あなたはどこまで知ってる?

 

増田美加さん
Mika Masuda

 

1962年生まれ。女性医療ジャーナリスト。35年にわたり女性医療、ヘルスケアを取材。乳がん罹患後はがん啓発活動を積極的に行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための患者力』(講談社)ほか。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員

 

市川 衛さん
Mamoru Ichikawa

 

1977年生まれ。医療の“翻訳家”。NHKチーフ・ディレクター。メディカルジャーナリズム勉強会代表。東京大学医学部卒業後、NHKに入局し「ためしてガッテン」「NHKスペシャル」などを担当。近著に『教養としての健康情報』(講談社)

 

Q インフルエンザ検査で「陰性」。あなたがインフルエンザである可能性は?

A 半分ほどの確率で「本当はかかっている」かも。

高熱と関節痛があって医療機関を受診して、インフルエンザ迅速検査を受けたとします。結果が「陰性」と出ても、場合によってはおよそ50%の人は「本当はかかっている」可能性があります。ですから医療機関では「陰性」と出ても、インフルエンザのような症状がある人には薬を出すことが少なくありません。今回の新型コロナのPCR検査は、インフルエンザ迅速検査よりは精度が高いといわれていますが、「陰性」の中にも感染者が混ざっている可能性はあります。(市川)

Q ハワイでおたふく風邪が流行し、例年の100倍に。旅行は控えるべき?

A 意味ないかも。日本は世界有数のおたふく風邪大国です。

2018年、「ハワイのおたふく風邪の患者数は年10人程度なのに、年間の患者数が約100倍の1000人に達した」という報道で、ハワイ旅行を中止したほうがよいのかと危惧する声が上がりました。しかし日本はワクチンの接種率が低く、同年の患者数は約8万人超。日本は世界有数の“おたふく風邪大国”ですから、渡航を取りやめにしても意義が少ないかも。数字を見る際は、ある程度の期間や国際的な数値と比較することが大切です。(市川)

 

●おたふく風邪の年間報告数

出典/市川 衛『教養としての健康情報』(講談社) WHO vaccine-preventable diseases: monitoring system. 2018 global summaryより著者作成

日本は世界有数のおたふく風邪大国。海外で流行しているからといって渡航をやめるのはナンセンスなのです

 

Q がんの治療で「最先端治療」と「標準治療」、どちらがゴールドスタンダード?

A 「標準治療」が最善の治療です。「最先端」はまだ実験段階。

最先端治療や最新治療と聞くと、最高の治療と思いがちですが、実はそうではありません。「標準治療」が今ある最善の治療で、ゴールドスタンダードなのです。最先端治療は、効果があるかどうかわからない実験段階の治療。いくつかの臨床試験を繰り返し、効果があるというよい結果が出て初めて、「標準治療」に格上げされます。1万個の新薬の中で、実用化され標準治療に使われる薬になるのは、たったの1個です。(増田)

 

Q 進行がんで「余命2年」と言われたら、それ以上生きることは難しい?

A 5年以上生きることはよくあります。2年で亡くなる人は約半数。

例えば、大腸がんのステージⅣの進行がんと診断されると、「余命2年」と言われる人が多いのですが、2年で亡くなる人は約半数。20%以上の人が5年以上生きているというデータがあるのです。ですから、余命2年と言われて5年生きることはよくあることで、「奇跡の治療法で長く生きた!」などと言うにはあたりません。根拠のないがん治療情報には、くれぐれもご注意ください。(増田)

 

●生存率<大腸(結腸-直腸) ステージⅣ/2009年-2011年>

※千葉県がんセンター研究所がん予防センター「全がん協加盟施設の生存率共同調査 全がん協生存率」

大腸がんのステージⅣと診断された人の生存率を表しています。グラフを見ると、2年で亡くなる人は50%。5年以上生きている人は20%以上いるのです

 

 

イラスト/内藤しなこ 取材・原文/増田美加

 

 

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