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尿もれ、膣の乾燥…… 閉経後の大問題「GSM」。あなたも始まっている?

泌尿器と生殖器にさまざまな不快症状、「年だから仕方ない」とあきらめていたのは昔のこと。閉経後女性の生活の質(QOL)に大きく影響を与えるGSMについて、女性医療ジャーナリストの増田美加さんと日本泌尿器科学会専門医の関口由紀さんに詳しく伺いました。

 

お話を伺ったのは

増田美加さん 医療ジャーナリスト

増田美加さん
Mika Masuda

1962年生まれ。女性医療ジャーナリスト。35年にわたり女性の医療、ヘルスケアを取材。自身が乳がんに罹患してからは、がん啓発活動を積極的に行う。著書に『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』ほか多数

 

関口由紀さん 日本泌尿器科学会専門医

関口由紀さん
Yuki Sekiguchi

日本泌尿器科学会専門医・指導医。山形大学医学部卒業。横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学修了(医学博士)、日本大学グローバルビジネス研究科ヘルスケアコース修了(経営学修士)。現在、横浜市立大学医学部泌尿器科客員教授として女性泌尿器外来担当。女性医療クリニックLUNAグループ理事長

 

女性医療クリニックLUNAのホームページはコチラから

 

 

症状は尿もれ、腟の乾燥、性交痛…と多岐にわたります

 

閉経後の女性が悩む泌尿器と生殖器のさまざまな症状を包括的にとらえたGSM※1(閉経関連尿路生殖器症候群)という疾患が今、更年期医療の中で注目されています。

 

更年期の泌尿器系の症状で、まず思い浮かぶのは尿もれ、頻尿ですが、これらに加えて、生殖器系の外陰部や腟の乾燥、性交痛などもGSMに含まれます。閉経後、女性ホルモン・エストロゲンの分泌低下が、外陰部や腟の粘膜や皮下組織に萎縮と脆弱化を引き起こします。

 

その結果、泌尿器と生殖器にさまざまな不快症状が。GSMの泌尿器症状は尿もれ、頻尿(尿意切迫感)が多く、生殖器症状は、性交痛、かゆみ、においの順に多いという調査があります※2。かくいう私もGSMに悩む一人です。

 

*1 GSM=Genitourinary syndrome of menopause
*2 「Women’s Health Initiative for Total care and Education」Vol.6 No.1 2018-5 メディカルトレビュー社 太田博明、八田真理子

 

【GSMチェックリスト】
当てはまる症状があればGSMが始まっている可能性大です。

  • 腟の乾燥感
  • 腟のかゆみ
  • 腟・外陰のムズムズ・灼熱感
  • 尿失禁・尿もれ
  • 頻尿・尿意切迫感
  • 繰り返す膀胱炎
  • 緩み
  • におい
  • 性交痛、性交時の潤い不足
  • 性的欲求低下・オーガズム低下

 

以前は、老人性腟炎と呼ばれ、症状を訴えても「もう年だから仕方ない」と放置されていました。しかし2014年に国際女性性機能学会と米国更年期学会が新たな疾患概念を提唱。それがGSMです。

 

閉経後の約半数以上の女性がGSMのなんらかの症状に悩まされていることがわかってきました。エストロゲンが低下し、顔にシミやシワが現れるように、外陰部や腟もやせて萎縮します。腟萎縮が始まると腟内の潤いがなくなり乾燥。腟壁も弾力のないペラペラな状態になり、傷つきやすくなります。

 

そして乾燥、かゆみ、におい、性交痛、緩みや尿失禁などのつらい症状に。GSMは放っておけば改善することはなく確実に進行し、閉経後女性の生活の質(QOL)に深刻な影響を及ぼすことが明らかになったのです。日本の更年期医療でも注目する医師が増え、GSMを積極的に治療しようという流れになってきています。

アップデート講座イメージイラスト

 

 

腟・外陰部に現れるGSMのサインとは?

腟・外陰部に現れるGSMのサインとは?

◆包皮&クリトリス

包皮は自分で開くことができ、中に小指~中指の頭くらいのしっとりしたクリトリスが。包皮が開きにくくなったり、触れるだけでイガイガするのはGSMの兆候。

 

◆大陰唇

本来はふっくらしていて、ハリがある部位。乾燥、萎縮して、尿道や腟を覆うことができず、擦れると痛いのはGSMのサイン。

 

◆尿道口

しっとりしていて、縦に閉まっていれば問題なし。円形で、赤い粘膜が中から出ていたらGSMかもしれません。

 

◆小陰唇

最大幅は1~4㎝くらいですが個人差も。しっとりしていればOKですが、肛門側が短くなっていたり、白っぽくなっている、赤みが強いなどの場合はGSMが疑われます。

 

◆腟

指の第2関節くらいを挿入して、腟壁の確認を。しっとりしていれば問題ありませんが、白っぽくなっている、赤みが強い、指を優しく挿入しているのに痛みがあればGSMかも。

 

 

◆「GSMの不快症状に悩んだら我慢せず、声をあげませんか?」

泌尿器と生殖器、いわゆるデリケートゾーンの取材を続けて約30年になりますが、以前は症状を訴えられず、我慢せざるを得ない状況でした。でも今は違います。私たち女性が不調があることを訴えれば、医療はさらに変わります。

 

人生100年時代を健やかに過ごすために、躊躇せず、声をあげてみませんか? GSMの症状と治療について関口由紀先生のほか、3名の医師を取材し、1冊にまとめました。(増田美加)

『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)

『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版) 増田美加 著

 

 

イラスト/堀川理万子

 

 

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