40歳からの筋肉の衰えがフレイルの始まり
「フレイルとは『虚弱』を意味する言葉で、病気ではないけれど、年齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能など)が低下した状態のこと。元気な老人を目指すためには、これがひとつの指標になります。
下記のチェックでひとつでも思い当たるものがあれば『プレフレイル』の可能性が。特に筋力の低下には注意が必要です。フレイルの始まりは30代、40代の生活に起因することが多く、生活次第で予防も治療もでき、老化を遅らせることが期待できます。少しでも早い時期から予防に取り組むことが大切です」
フレイル判断の基準
【チェックリスト】
体重減少(6カ月で2㎏以上の意図しない体重減少)
歩行速度の低下(通常歩行速度1.0m/秒未満)
握力の低下(男性28㎏未満、女性18㎏未満)
疲労感(わけもなく疲れたような感じがする)
活動量の低下(運動を週に1回もしていない)
日本版CHS(J-CHS)基準(2020年改定)によると、5つのうち3項目が当てはまる人は「フレイル」、1~2項目だと「プレフレイル」。特に筋力の衰えには注意が必要です。
出典/Satake S, et al. Geriatr Gerontol Int. 2020; 20(10): 992-993.
見た目でわかる臓器の老化
臓器の老化具合が、肌や体型などの見た目にも現れる…? それらを裏づける調査結果があります。
内臓の健康は見た目の若さとリンクする
「デンマークで70歳以上の双子187組を、12年間追跡調査したところ、外見が実際の年齢よりも若いほうが長生きしたという結果が。また、ニュージーランドの男女957人を12年間追跡し、血糖値、肺機能、肥満度など慢性疾患や死亡リスクに関連する18の指標を調査した報告もあります。
それによると、老けて見える人ほど、体の中も老化していることがわかりました。同じ38歳でも、体の年齢は20歳以上の差が生じていた例もあり、38歳時点で急速に老化が進んでいた人は、身体能力が低く、認知機能の低下も見られたとしています」
大阪大学大学院医学系研究科内科学名誉教授。日本老年医学会前理事長、日本高血圧学会前理事長
イラスト/カケハタリョウ 構成・原文/山村浩子