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簡単だけど続かない? 心臓の健康を保つ10の生活習慣

近い将来、深刻な心不全パンデミックが起きると予測されています。心不全は他人事ではありません。40歳頃からの予防が肝心。では、どのようなことを心がければいいのでしょうか? 心臓病のスペシャリストである大島一太先生に伺いました。

簡単なのに実践しにくい! 心臓力を高める10の生活習慣

「心不全と聞くと、心臓の働きが弱くなり、息切れやむくみなどの重い症状を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実はそれだけではありません。心臓に負担がかかっている状態を広く心不全と考えます。

 

例えば高血圧や貧血、喫煙による肺の病気も、直接心臓の病気ではありませんが、心臓には大きな負担をかけており、広い意味で心不全ととらえます。

 

特に高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、喫煙などは、心不全のリスクを高める予備軍です。心不全は高齢者だけの病気と思われがちですが、実際にはこれらの予備軍が40歳頃から徐々に増えてきます。

 

症状がないうちから意識を高め、これらの生活習慣病を適切にマネジメントすることで、心不全のリスクを大幅に減らすことができるのです」(大島一太先生)

※詳しくは第1回第2回参照。

 

では、どのようなことを実践すればよいのでしょうか? よく知られている健康法も、意外と実践できていないことが多いかもしれません。そこで、おさらいも兼ねて、心臓力を高めるためにすぐに実践できる最も簡単な10の生活習慣をご紹介します。

 

【その1】朝日を浴びて元気な一日をスタート

「私たちの体には24時間の体内時計があり、これが血圧や体温、心拍数、ホルモン分泌などを時間ごとに調整しています。朝起きて昼間に活動し、夜眠るというリズムを保つことは、生理機能を整え、健康を維持するためにとても大切です。このリズムがくずれると、代謝や免疫機能が乱れ、生活習慣病のリスクが高まります。

 

そこで、朝起きたら、まずはカーテンを開けて外の空気を取り入れ、朝日を浴びましょう。光は体内時計に大きく影響し、朝に光を浴びると朝型に、夕方以降に光を浴びると夜型にシフトします。昼まで寝て朝日を浴びないと、徐々に夜型にシフトしてしまいます。

 

朝型の生活に切り替えると、昼間のパフォーマンスが向上し、夜もよく眠れるようになります。これにより、体内時計が整い、体調も改善されます」

 

【その2】体を目覚めさせる1杯の白湯

「寝ている間は飲食をしないうえに汗もかくので、朝起きたときの体は脱水状態になっています。血流を促すためにも、朝起きたらまず水分を補給しましょう。ただし、冷たい水は血管や筋肉を緊張させるため、一度沸騰させて冷ましたお湯(白湯)を飲むのがおすすめです。

 

白湯は体を温め、筋肉をリラックスさせ、腸の働きを活発にします。朝に白湯を飲むと、トイレの習慣も整いやすくなり、健康によい効果が得られます」

 

【その3】朝一番の家庭血圧の測定を習慣に

 

心不全 4回 家庭血圧

 

「血圧は、心臓が1日に約10万回鼓動を打つたびに変わります。その中でも特に重要なのが、朝一番に測る家庭血圧です。

 

多くの人は病院で血圧を測ることをイメージするかもしれませんが、実は家庭で測る血圧のほうが、環境の影響を受けにくく、再現性や信頼性が高いことがわかっています。家庭での血圧測定は、心筋梗塞や脳卒中のリスクを予測するのに非常に有効なのです。

 

理想的には、朝と晩の1日2回測定するのが望ましいですが、毎日何回も測るのは難しいこともあります。また、夜は疲れて眠ってしまうこともあるでしょう。その場合は、まず朝の測定を習慣にすることから始めてください」

 

【朝の血圧測定ルール】

1:起床後1時間以内

2:トイレをすませた食前

3:背もたれのある椅子に座って1~2分安静にしたあと

4:原則2回測定した平均値を記録する

5:できれば7日間、最低でも5日以上の結果を評価する

6:上腕で測定する血圧計を使用する

 

家庭血圧を測定し、朝か晩のいずれか、または両方が135/85㎜Hg以上の場合を、家庭血圧に基づく高血圧と診断します。血圧を下げる目標は、年齢によって異なります。75歳未満の人は125/75㎜Hg未満、75歳以上は135/85㎜Hg未満を目指します。

 

【その4】朝食で心臓力をチャージ

「朝食を抜くと、前日の夕食から長い時間食事をとらないことにより、血糖値が下がりすぎたり、エネルギー不足で体が飢餓状態になってしまいます。その結果、昼食や夕食で糖分を過剰に取り込みやすくなり、血糖値が急激に上下します。これが肥満やメタボリックシンドロームを引き起こし、生活習慣病のリスクを高めます」

 

ダイエットのために毎日朝ごはんを抜くのは、実は逆効果かもしれません。健康を保ち心臓力を高めるためには、朝食がとても重要です。

 

【その5】座りすぎは危険!

「長時間座っていることには、さまざまな健康リスクがあります。まず、血液の循環が悪くなり、肩こりや腰痛、手足の冷え、むくみなどが現れます。さらに、足の血管が血栓で詰まる「エコノミークラス症候群」を引き起こすこともあります。また、座りっぱなしだと脚や腹部の筋力が低下し、姿勢が悪くなります。代謝も低下するため生活習慣病が悪化し、心不全のリスクも高まります。

 

オーストラリアの研究機関の調査では、1日に座っている時間が4時間未満の成人に比べ、11時間以上の成人は死亡リスクが40%も高まることが報告されています。座りすぎは喫煙と同じくらい危険だともいわれており、特に日本人の平均座位時間は7時間と世界最長です。

 

健康を保つためには、定期的に立ち上がり、軽い運動やストレッチを行いましょう。日常生活に適度な運動を取り入れ、座るときには正しい姿勢を意識してください」

 

【その6】短い昼寝で命を延ばす

「短い昼寝は、疲れを取ったり、血圧や心拍数を安定させたり、午後のパフォーマンスを向上させる効果があります。このため、多くの世界的企業がオフィスに仮眠スペースを設けています。

 

20~30分の昼寝を週3回以上行うと、心臓病による死亡リスクが37%低下するという報告があります。

浅い眠りを意識し、椅子に座ったままで、正午から午後3時の間に20分ほどの短い昼寝を取り入れるのがおすすめです」

 

 

【その7】嗜好品と賢くつき合う

コーヒーについて

「コーヒーは健康によいことが知られています。1日に3~4杯のコーヒーを飲む人は、ほとんど飲まない人よりも死亡率が24%低下すると報告されています。具体的には、心臓病による死亡リスクは36%、脳卒中による死亡リスクは43%、肺疾患による死亡リスクは40%低下します。

ただし、カフェインが含まれているため、不眠にならないように午後3時以降は控えてください」

 

お酒について

「2024年2月、厚生労働省が国内初の『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』を公表し、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を示しました。このガイドラインでは、純アルコール量で男性は1日40g以上、女性は20g以上としています。

 

例えば、女性の場合はビールなら500㎖ワインならグラス1杯、日本酒なら1合が上限の目安です。男性の場合はこの2倍量までで、この量を守ることで、飲酒による健康リスクを減らすことができます」

 

タバコについて

「喫煙者は『禁煙なんて今さら遅いのでは?』 と思うかもしれませんが、禁煙の効果はすぐに表れ、長期的にも大きなメリットがあります。

 

禁煙してから20分で血圧や心拍数が下がり、12時間で血中の一酸化炭素値が正常化します。24時間で心臓発作のリスクが低下し、1~2カ月で咳や痰が改善、3カ月で心臓や血管の機能が向上します。

 

1年で肺機能が改善し、2~4年で心筋梗塞のリスクが35%低下、5~9年で肺がんのリスクが大きく減少し、10~15年でさまざまな病気のリスクが非喫煙者と同じレベルにまで下がります。

 

タバコはすぐに回避できる最大の死亡原因です。一日も早く禁煙しましょう」

 

【その8】深夜の食事はNG、おやつは午後3時がベストタイム

「最近、体内時計を調整するBMAL1(ビーマルワン)というタンパク質が注目されています。BMAL1は脂肪の代謝や吸収に深くかかわり、脂肪をつくってため込む酵素を増やします。

 

このBMAL1の分泌は午後3時に最も低下し、午後10時から深夜2時にかけて最も上昇します。このため、深夜の食事は体内脂肪を増やし、肥満を加速させてしまうのです。逆に、おやつを食べるなら午後3時が理想的です。

 

おやつにはチョコレートがおすすめです。チョコレートに含まれるカカオポリフェノールやGABAは、抗酸化作用で体内の酸化ストレスを減らし、血圧を下げたり動脈硬化を予防します。健康を意識して、ぜひおやつにチョコレートを取り入れてみてください」

 

【その9】寒暖差が命を奪う! お風呂とエアコンに要注意

「65歳以上の人が自宅のお風呂で亡くなるケースは、交通事故による死亡者数の約2倍に上ります。これは、おもに入浴時の血圧の変動による『ヒートショック現象』が原因です。

特に冬場は脱衣所と浴室を暖かくし、38~40℃のぬるめのお湯にすることを心がけましょう。

 

ヒートショックは冬だけでなく、夏にも発生します。エアコンで冷えた室内から急に暑い外に出たときなどに、血圧や心拍数が大きく変動し、息切れ、動悸、めまい、吐き気などの症状が現れます。10℃以上の急激な温度差には注意が必要です」

 

【その10】心臓を守る! 良質な睡眠の秘訣は「睡眠中央値」

「心臓の健康を保つためには良質な睡眠が不可欠です。普段の睡眠不足を補おうと、休日などにいつもより長く寝たいときには、睡眠中央値をくずさずに睡眠時間を確保することがポイントです。

 

例えば、普段は午前0時に寝て6時に起きている場合、その睡眠の中央値は3時です。睡眠時間を長くしたいときは、この午前3時の中央値を変えずに、午後11時に寝て7時に起きるというように調整します。こうすることで、体内のリズムを保ちながら、しっかりと体を休めることができます」

 

 

サウナの恩恵と潜む危険! 知っておくべき注意点

最近、サウナが大ブームとなっています。フィンランドの研究機関の研究によると、サウナ入浴の回数が増えるほど、心臓病や突然死のリスクが減少すると報告されています。また、片頭痛やアレルギーの改善、認知症の予防など、多くの効果も確認されています。

 

「ただし、これらの研究はおもに若い年齢層の健康な人々を対象にしています。高血圧や低血圧、飲酒後、妊娠中の人は、健康リスクを避けるためにサウナの利用は控えてください。

 

また、サウナの直後に水風呂で体を冷やすのは、急激な血圧や心拍数の変動を引き起こすため危険です。特に、適切に管理できていない生活習慣病がある心不全予備軍の人や、心臓や血管に疾患がある人も注意が必要です。

 

安全にサウナを利用するためには、自分の体調をよく考え、無理をしないことが大切です」

 

いかがでしたか?

心臓力を高めるさまざまな生活習慣。積極的に取り組みたいものですね!

 

 

【教えていただいた方】

大島一太
大島一太さん
医師・医学博士
公式サイトを見る
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大島医院院長。東京医科大学循環器内科学分野・同大学八王子医療センター循環器内科兼任講師、日本看護協会看護研修学校非常勤講師、日本循環器学会心不全療養指導士実務部委員、日本心臓病学会特別正会員・心臓病上級臨床医など併任。生活習慣病から重症心臓病まで、地域密着型の開業医と大学病院の専門外来を兼務し、予防医学から専門性の高い心臓病治療までを広く実践しているスペシャリスト。『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』(かんき出版)など著書多数。

 

イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子

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