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他人事じゃない!「眼瞼下垂」 手術の専門ドクターが答える! 疑問・質問 Q&A

国内ではまだ数少ない眼瞼下垂の専門ドクター、高田尚忠先生に学ぶ「眼瞼下垂」の治療最前線。実際の手術について気になる質問・疑問を先生に投げてみました。どんなことにも率直に向き合う高田先生は回答に迷いがなく、手術を考える人にも安心感を与えてくれます。

眼瞼下垂手術をするか、迷ったり考えたりしている人の疑問に、年間2000件以上手術をする高田先生に答えていただきました!

 

 

Q1
眼瞼下垂で手術する人の年齢は平均して何歳くらいですか?

当院では若い方は中学生から、上は90歳ぐらいまで。老若男女幅広く手術を行っていますが、40代〜50代の女性がいちばん多いと思います。

 

Q2
眼瞼下垂の治療でセカンドオピニオンは取るべきですか? 何軒くらい行くのがいいでしょう?

手術件数が豊富かつ実績がある医療機関で、手術の内容説明に納得ができれば、1軒でも問題ないように思います。逆に、きちんとした説明がされず、納得ができないのであれば、何軒でも行って、意見を聞いてみるべきでしょう。

特に、手術をせかすような説明をするクリニックは注意が必要といえます。

 

Q3
眼瞼下垂でカウンセリングや相談に行ったら、すぐに手術をすすめられるのですか?

眼瞼下垂症は、眼科学的に(医学的に)考えても緊急性のない疾患なので、すべてのケースで手術を行うべきとは思いません。あくまでご本人が納得してからのことです。

そのため当院の場合は、しっかりと術前説明(カウンセリング)を行い、安易に手術を受けるように誘導するような営業トークはしていません。

 

 

 

Q4
「眼瞼下垂は手術なしでクリームで治る」という広告をよく見ます。本当に治りますか?

まぶたの皮膚のたるみがそのクリームで改善するのであれば、多少の効果はあるのかもしれません。でも、基本的に眼瞼下垂症はまぶたの構造の問題であるため、点眼薬、クリーム、軟膏などの外用薬、内服薬を含め、薬剤で根本から治すことはできないものです。
さらに言えば、眼瞼下垂症もさまざまな原因があるので、その原因に合わせた治療法、手術方法の選択を検討することが必要だと思います。

 

Q5
眉下切開手術でも、眼瞼下垂は治るのですか?

眉下切開手術は、眉毛のすぐそばの皮膚を切除します。余分な皮膚を取り除くことでまぶたをリフトアップさせ、まぶたのかぶりを引き上げる方法です。

 

 

 

まぶたのかぶりがあったとき、眉下すぐを切開して余分な皮膚を切り取り、ほぼ跡が見えないように、細い糸で縫合します。

 

軽度の眼瞼下垂の方は、眉下切開だけでも症状の緩和に十分つながります。

皮膚の重みやたるみが顕著で、視界が狭くなっているようであれば、保険診療で眉下切開手術をすることも。当院の場合は、最初から眉下切開することもあれば、挙筋前転法など基本の眼瞼下垂症手術後に追加して、眉下切開をおすすめするケースもあります。

眉下切開に限らず、さまざまな手術方式の中でその方にいちばん合った方法を提案しています。

 

Q6
医師の診断では軽症の眼瞼下垂。手術はもっとひどくなってからでよいと言われましたが、本当ですか?

一概に、症状が重くなってからがよいというわけではありません。一見軽度でも、「隠れ眼瞼下垂症」のように進行している場合もあるからです。

また、手術は組織の状態の良し悪しで難易度が変わります。加齢によっても皮膚は硬くなり、眼瞼挙筋の筋力の低下、皮膚の弛緩、組織の脂肪化などが進み、手術自体が若い人より難しくなります。

 

Q7
まぶたが垂れて目にかぶってきたと感じます。手術して、10年前くらいの印象にすることは可能ですか?

印象や見た目を改善するという希望をかなえたい場合は、自費診療の範疇となります。保険診療はあくまで機能回復を主としたものだからです。

当院の場合は、眼瞼下垂手術を保険診療で行う際、眼瞼挙筋を前転(タッキング)し、開瞼幅や左右差の調整を行っていきます。結果として、ねらっていないにしてもその方の若い頃の状態に戻る場合もあります。

もし、意図的に若い頃の印象に戻したいのであれば、自費診療で目元のデザインをオーダーメイド的にアレンジしていくことになると思います。

 

Q8
眼瞼下垂の手術は何回でもできますか?

手術は、回数を重ねれば重ねるほど組織の瘢痕化(はんこんか)、繊維化が進み、手術難易度が上がってしまいます。さらに言えば、手術の術式によっても再手術の難易度は変わってきます。特にミュラー筋タッキングなど、ミュラー筋を操作するような手術や吊り上げ術だと、後からの修正や再手術は難しいと考えられます。

 

Q9
手術後、眼が閉じにくくなったという話をネットで見かけますが、なぜですか?

眼瞼下垂手術は目を開きやすくする手術ではありますが、その実、目を閉じにくくする手術ともいえます。したがって組織の取りすぎ、過矯正による後遺症で兎眼(とがん:まぶたを完全に閉じることができない状態)が出ることも予想できます。
特に手術後の早期には、傷口(手術創)が硬くなり、引きつって突っ張ってしまうため、睡眠中に薄目を開けている状態になるなど閉じにくさが出てくることも。数カ月で治ることも多いため、きちんとした手術であれば、最終的に困るような兎眼になることは少ないはず。当院が皮膚切除量を3mm以下に規定しているのは、兎眼を避けるためでもあります。

画像出典:https://e-aps.org/journal/Figure.php?xn=aps-41-576.xml&id=

 

Q10
眼瞼下垂の再手術(修正手術)を2軒で断られました。無理なのでしょうか?

他院の修正手術は、前医による手術内容の差があり、それによって難易度も変わります。他院修正のケースでは、埋没糸の除去、瘢痕組織の切除など高度な技術による対応が必要となるため、通常の眼瞼下垂とは分けて考えます。修正手術後のトラブルのリスクも高くなるのは当然です。

また、修正手術を希望する方の中には眼瞼下垂の治療以上に、審美的な改善への気持ちが強い方が多いのも、術者側からすればリスクとなります。

そうした理由で、初めから手術をお断りする施設も多いでしょうし、引き受けたとしても通常より高額な手術費用の請求となることが多いように思います。

 

 

【教えていただいた方】

高田尚忠
高田尚忠さん
眼科医
公式サイトを見る

高田眼科(静岡県浜松市)院長、フラミンゴ眼瞼・美容クリニック(愛知県名古屋市)主宰。眼科医と形成外科医の知識、豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとにファシアリリース法を考案。保険適用手術にこだわり、手がける眼瞼下垂手術は年間2000件以上。全国から患者が来院。メールでの眼瞼下垂相談も可能。

 

 

写真・イラスト協力/高田尚忠 取材・文/蓮見則子

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