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薬の形、種類、飲む時間…。素朴な疑問で「正しい飲み方」をチェック!

医師が処方したから、薬局で薬剤師がすすめたからというだけで、なんとなく飲んでいませんか? しかし薬には、副作用があったり、自己治癒力を低下させてしまうといったデメリットもあります。そこで薬と上手に付き合っていくためのノウハウを、薬剤師の鈴木素邦(そほう)さんに伺いました。

【教えていただいた方】

鈴木素邦
鈴木素邦さん
薬剤師
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経営学修士(MBA)。「クラヤコンサルティング」代表取締役。城西大学薬学部非常勤講師。東京大学や慶応義塾大学などの教壇に立ち、多くの薬剤師を世に送り出す。薬局薬剤師の経験、多くの薬剤師を輩出した経験をもとに、お客様第一の薬局になれるような薬局向け経営コンサルティングを行う。研修講師としても、薬局経営者向け中心に講座を実施している。著書に『薬の裏側』(総合法令出版)など。 薬 鈴木先生書影

 

薬は正しく飲まないと効果が減ることも!

こんなときどうしたらいい? 薬の正しい飲み方について素朴な疑問に答えます!

 

Q1:薬をお茶で飲んではいけないと聞きました。なぜ?

A:薬の成分と化学反応を起こす可能性があるからです。

薬 第1回 薬の飲み方 サムネ

薬はお茶で飲んではいけない、水かぬるま湯で飲みましょう…といわれています。それはどうして?

 

「一緒に飲むものによって、薬の効果が強くなったり、弱まったり、副作用が出やすくなることがあるからです。

 

緑茶は、以前には含有するカテキンという成分がよくないという説もありましたが、問題はカフェインです。ですから同じ茶葉からできている紅茶やウーロン茶、また、コーヒーもNGです。薬とカフェインを同時にとると、中枢神経の興奮や心筋収縮力増強、利尿作用が高まる可能性があります。

 

また牛乳は含有するカルシウムが薬の成分と結合することで、成分の吸収率が低下します。アルコール類は薬の効果を促進させたり、副作用の発現が高まる可能性が。糖尿病の薬では低血糖状態になることもあるので注意が必要です」(鈴木素邦さん)

 

通常、薬は食後に飲むように指示されることが多く、食後に服薬して、その後にお茶やコーヒーを飲む人もいると思うのですが、それなら大丈夫なのでしょうか?

 

「服薬後すぐにこうした飲み物を飲むのもよくありません。できれば2~3時間空けるか、カフェインレスのコーヒーや、お茶ならほうじ茶、プーアル茶、ハーブティーにするといいと思います」

 

 

Q2:錠剤を嚙んで飲むと速く効くって本当?

A:逆に効き目が悪くなることもあります。

 

錠剤を嚙んだり、カプセルは中身を出して飲んだほうが速く効くような気がする、と思っている人もいるようです。

薬 第1回 薬の構成

「錠剤やカプセル剤は作る段階で、さまざまな工夫がされています。例えば、薬の成分を胃で吸収させたいものと、腸で吸収させたいものがあります。その場合は胃で溶けないように表面をコーティングして、腸まで運ぶようにするのです。または薬の成分をあえて徐々に溶けるようにしているものもあります。それを口で嚙んでしまうと、薬の作用が薄れてしまう可能性があります。

 

カプセルには中身を出しても問題のないものと、ダメなもの、出してしまうと舌がしびれたり苦味が強いものもあります。

 

例えば、貧血などに使われる鉄剤は、錠剤、顆粒剤、カプセル剤などがあります。これらの中には、舌にのせた瞬間はメロン味になっているものがあります。それは、鉄剤自体は血の味がするので、飲みやすくするためにコーティングしているのです。

 

薬はその状態のまま、指示通りに飲むことをおすすめします。中には、せっかくの工夫が台無しになってしまうこともあります」

 

 

Q3:水なしで飲める薬を水で飲んではいけないの?

A :水で飲むと吸収が遅れる薬もあります。

 

「水なしで飲める錠剤には『口腔内崩壊錠(こうくうないほうかいじょう)・OD錠』や『咀嚼錠(そしゃくじょう)・チュアブル錠』があります。

 

OD 錠は舌の上にのせると錠剤が数十秒で崩壊するようにできています。錠剤をうまく飲み込めない子どもやお年寄り、手元に水がない外出先でも服用できるのが大きな魅力です。これは水で飲んでも問題はありません。

 

一方で、チュアブル錠は嚙み砕いて服用します。OD錠より溶けにくくなっていて、中には、嚙み砕かずにそのまま水で服用すると、吸収が遅れたり、効果が十分に発揮されないことがあります。水で飲みたい場合は、問題がないかを薬剤師に確認するようにしましょう」

 

 

Q4:食間服用は食事中に飲むことですか?

A :食事と食事の間の空腹時が正解です。

 

「中には食事中に飲むと思っている人がいるのですが、正解は食事と食事の間です。このタイプの薬は、その目的が胃粘膜を保護するものであったり、食事に影響されて薬の吸収が悪くなるものです。ですから、胃が空っぽの状態のときに飲んでほしいのです。

 

食べたものが胃で消化されてなくなるのに約2~3時間かかります。通常、朝食、昼食、夕食の間は各5~6時間空きますので、その中間あたりという意味で「食間」と表記されています。

 

別の言い方をするならば、食事をした2~3時間後に服用するのが目安です。

 

また、食前服用という薬もあります。漢方薬や糖尿病の薬などに多く、食事による症状を抑える、食後では吸収が悪くなったり、副作用が出やすい薬は食前が指示されます。

 

このタイプの薬は吸収が速いのが特徴です。漢方薬などは食事の30分前くらいが目安。糖尿病の薬などは食事の糖分の吸収を抑えるという役割から、直前の5~10分前に服用するものもあります。

※薬により異なるので、薬剤師や説明書の指示に従ってください。

 

最も多い食後服用は食後30分以内が目安。食事と一緒のほうが吸収のいい薬、また食事の影響を受けない薬に関しては、胃に食べ物があるほうが胃粘膜に負担がかからず、飲み忘れを防げるという配慮から食後にしていることもあります」

 

 

Q5:薬を飲み忘れたときはどうしたらいい?

A:次のタイミングで通常通りの摂取を!

 

1日2回や3回などといわれていても、うっかり飲み忘れることはよくあります。

 

「そんなときは、薬によって異なりますが、基本は次の服用タイミングまで待ちます。その際、飲み忘れた分を含めて2倍飲むのはNGです。

 

例えば、1日3回飲む薬の場合、朝、昼、夕で分けることで、ちょうどいい効き目を維持するようにできています。ですから、昼に飲み忘れた分を夜に2倍飲むと、効果が出すぎて危険な場合もあります。飲み忘れたときは1回スキップして、次回から通常量を飲むようにします。

 

ただし、心臓の薬などでは1回スキップすることで命にかかわることもあります。こうした場合は例外です。どのように対処すべきか、事前に主治医や薬剤師に確認しておくと安心です」

 

 

Q6:パッチ剤はどこに貼ってもいいの?

A:薬局から指示された場所に貼りましょう。

 

「皮膚に貼るタイプのパッチ剤(貼付剤・ちょうふざい)は、局所用と全身用があります。局所用はパップ剤(ガーゼなど)やプラスター剤(粘着テープ)など、鎮痛消炎剤の湿布などが代表的。これは皮膚表面の患部に貼ります。ただし、傷口や痛みのある場所は避けましょう。

 

全身用は有効成分が皮膚を通って血管やリンパ管に入り、全身に回ります。ステロイドや女性ホルモン剤などがあります。この場合は患部周辺だけでなく、粘膜以外どこに貼っても問題は少ないのですが、医薬品メーカーがどこに貼るのがベストかを調査していますので、薬剤師に言われた場所に貼りましょう。同じ場所に貼り続けるとかぶれることもあるので、少しずつ場所を変えるといいでしょう。

 

また、塗り薬は皮膚に直接塗ることで炎症などを抑える薬です。ステロイド外用剤などは擦り込まず、優しくのばすようにします。一方で、筋肉痛に使用する消炎鎮痛剤は擦り込むように塗ると吸収されやすくなります」

 

 

イラスト/いいあい 取材・文/山村浩子

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