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老化を早める「糖化」は、糖と脂質のとりすぎが原因

体が酸化する…といった、「酸化」という言葉は聞いたことがあるでしょう、しかし、体の「糖化」については、まだ十分に浸透していないのではないでしょうか? 実は、老化やあらゆる病気に、この糖化が深く関係しているようです。糖化っていったい何? 抗加齢医学、糖化研究の第一人者である米井嘉一先生に伺いました。

【教えていただいた方】

米井嘉一
米井嘉一さん
同志社大学 教授
公式サイトを見る

1958年、東京都生まれ。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター/糖化ストレス研究センター教授。日本抗加齢医学会理事、糖化ストレス研究会理事長。公益財団法人医食同源生薬研究財団代表理事。抗加齢医学研究の第一人者として、研究・臨床に従事。近年の研究テーマは「老化の危険因子と糖化ストレス」。著書に『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因「糖化」の正体』(池田書店)など、多数。 米井先生 著書 糖と脂肪で体は壊れる 書影 『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因 「糖化」の正体』著者・米井嘉一(池田書店)

 

「糖化」とは糖とタンパク質が結びついて、変性タンパク質を生み出すこと

 

「酸化」とは物質が酸素と結びついて錆びることですが、「糖化」とはいったいどのような現象なのでしょうか?

 

糖化 糖とタンパク質 AGEs 老化 病気

 

「糖化とは食事から摂取した過剰な糖と体内のタンパク質が結びついて、変性したタンパク質を生み出す現象のことです。

 

糖とタンパク質が反応すると、まずは糖化物(アマドリ化合物)という物質に変わります。このときの糖化物は、まだ元に戻れる状態です。

しかし、そこからさらに糖化の化学反応が進むと、最終的な糖化産物である『AGEs(Advanced Glycation End Products)・エイジス』が生成されます。

 

AGEsはタンパク質が変性したもので、こうなるともう元には戻れません。

 

【糖化でタンパク質はこう変わる!】

〇黄褐色になる
〇硬くなる
〇機能が低下する

 

ホットケーキやお好み焼きがこんがり焼けて褐色になるのも、糖化の一例です。

小麦粉の中のでんぷんや砂糖の糖分が、卵などのタンパク質と結びついて変性したのです。これと同じような現象が人の体内で起こるわけです。

 

食品では、香ばしく食欲をそそるうれしい現象ですが、体内での糖化はタンパク質が変性することで老化や病気の原因になります」(米井嘉一先生)

 

記事が続きます

糖と脂質のとりすぎが糖化の原因

では、どんなときに糖化が起こるのでしょうか?

 

糖のとりすぎです

糖を過剰にとると、血液中の糖濃度が上がります。すると、その血糖値を正常に戻そうと、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。しかし、インスリンの分泌や膵臓の機能が低下すると、常に高血糖の状態が続きます。これが糖尿病です。

 

糖尿病になると、合併症として体のあちらこちらで不調が起こります。例えば、動脈硬化や腎機能の低下、白内障などです。これを引き起こすのが、まさに『糖化』という現象なのです。

 

食後には血糖値が上昇します。これが急上昇することを血糖スパイクといいますが、そうなるとアルデヒドが連鎖的に増えて暴走するアルデヒドスパークを起こします。

 

実はAGEsを悪者に変えるのは、このアルデヒドという物質です。これが暴走することで、体のあちこちのタンパク質を悪いAGEsに変えるのです」

 

脂質やアルコールのとりすぎでも起こります

「脂質をとりすぎると、血液中に中性脂肪やコレステロールなどの脂肪が増えます。脂肪が代謝される過程で、脂肪酸に分解され、それが酸化するとアルデヒドが生成されます。

 

飲酒すると、アルコールは肝臓で代謝されますが、その過程で生まれるのがアセトアルデヒドです。これも人体に有害なもので、体を糖化させる原因になります。

 

私たちの体は、筋肉、骨、皮膚、脳、内臓、各種ホルモンなど、すべてタンパク質でできています。これらが糖化によって、異常なタンパク質AGEs に置き換わってしまうと、さまざまな不調が現れるわけです」

 

食品のAGEsとは別物。食べても問題なし!

糖化の例として、ホットケーキなどの食品のことを挙げました。こうした糖化した食品でもAGEsは生成されるといいます。では、それを食べても問題はないのでしょうか?

 

「例えば、味噌やしょうゆの香ばしい色や風味の正体はメラノイジンという成分です。これは、糖とアミノ酸(タンパク質を構成する基本要素)が反応して生成された、AGEsの一種です。

 

食品中のAGEsは変性を起こした最終的なものなので、それを食べても、それ以上体内で反応を起こすことはありません。異物として免疫細胞に貪食(どんしょく)※されるか、そのまま体外に排出されるだけです。

※貪食:体内の細胞が不必要なもの(体外からの異物や細胞死したものなど)を取り込み、消化し、分解する作用のこと。

 

基本的に、体内で生成されたAGEsと食品のAGEsは別物と考えてください。

 

前述した通り、食品に含まれるAGEsはおいしく感じ、幸福感をもたらします。すると、幸せホルモンのオキシトシンの作用が脳内で発揮されやすくなります。オキシトシンは愛情を育む大切なホルモンです。

 

おいしいものは人を幸福にし、愛情を豊かにします。

 

さまざまな研究により、AGEsを含むおいしいものをとることは、脳神経の発達や働きによい影響を与えることがわかっています。

 

しかしながら、糖や脂質の過剰摂取は体を糖化させ、老化や病気の原因になります。大切なのは、糖も脂質もとりすぎないこと! そこを混同しないでください」

 

 

イラスト/かくたりかこ 取材・文/山村浩子

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