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肥満や糖尿病、老け顔…悩みの原因は「糖化」にあり

年齢を重ねると増えてくる、さまざまな不調や病気。その一因が「体の糖化」にあるとか!? 糖化とは過剰な糖と体内のタンパク質が結合する現象のこと。これがどのように不調や病気と結びつくのでしょうか? 抗加齢医学、糖化研究の第一人者である米井嘉一先生に伺いました。

AGEsは全身に影響を与える!

肥満、動脈硬化、糖尿病、歯周病、骨粗しょう症、白内障、認知症…。これらは、年齢とともに増えていく体の変化や病気で、「体の糖化」が大きく関係しているといいます。

 

「糖化とは、体内のタンパク質が糖と結びつく現象のこと。こうした糖化によって、最終的に変性したタンパク質であるAGEs(エイジス)が生み出されます。こうして、私たちの体を構成しているタンパク質が、偽物のタンパク質であるAGEsに置き換わってしまうのです。

糖化に関する基礎知識は第1回参照。

 

私たちの体のほとんどはタンパク質でできているので、糖化による影響は全身に及びます。そうした症状は、その人の弱いところに現れます」(米井嘉一先生)

 

糖化 AGEsの悪影響 体の不法 イラスト

AGEsの悪影響

筋肉 肥満、痩せにくい など

「若い頃は運動すれば、痩せたり筋肉がついたのに、年齢を重ねると同じ運動をしても効果が出にくいと思ったことはありませんか?

 

こうした現象は、筋肉の細胞を構成するアクチンやミオシンというタンパク質が、糖化により偽物のタンパク質と入れ替わってしまっていることによると考えられます。偽物の筋繊維なので、いくら動かしても十分な運動効果を得られないのです」

 

内臓 腎臓(腎臓病)、すい臓(糖尿病)、肝臓(脂肪肝)など

「腎臓の役割は血液をろ過して、尿をつくることです。このろ過装置である糸球体が糖化してAGEsに置き換わると、その機能が低下します。

 

すい臓は血糖値を下げるインスリンなどのホルモンを分泌する働きをしています。この機能が低下すると2型糖尿病になります。これにも糖化が影響しています。

 

肝臓は代謝、解毒、胆汁生成などの働きをしています。胃腸で消化吸収された糖や脂質、アルコールなどは肝臓に送られるので、これらの過剰摂取の影響をとても受けやすい臓器といえます。脂肪肝になった肝臓は糖化により、脂肪性肝炎へと進行します」

 

記事が続きます

 

 骨粗しょう症、変形性関節症など

「骨は、その重さの約5分の1、体積の約2分の1が1型コラーゲンという線維性のタンパク質でできています。このコラーゲンに弾力があることで、骨は折れにくくなっています。ところがこのコラーゲンが糖化してしまうと、弾力を失い折れやすくなります。

 

また、関節は2型コラーゲンなどで構成された軟骨がクッション役を果たしています。これらが糖化により硬くなり、そこに機能的なストレスがかかると破損します。これが変形性関節症です」

 

 歯周病、口腔環境の悪化 など

「糖化ストレスがあると、口腔内の悪玉菌が増えて歯周病が悪化します。また、歯周病があると、インスリンの効きが悪くなり、血糖値が下がらずに糖尿病に発展することがあります。

 

口腔内の糖化対策としては、よく噛んで食べて唾液を出す、起床してすぐに口をすすいだり、歯磨きをすることが有効です」

 

皮膚 シワ、シミ、たるみ など

「肌の弾力を生み出しているのが皮膚のコラーゲンです。このコラーゲンが糖化すると硬くなり、弾力がなくなり、肌のハリがなくなります。これがシワやたるみに。

 

また、AGEsは黄褐色に変色するので、肌が黄ばんで透明感がなくなります。シミの原因にもなります」

 

 白内障、加齢黄斑変性など

「白内障は目のレンズの役割をする水晶体が白く濁る病気です。水晶体の透明なタンパク質が糖化することが原因です。また、加齢黄斑変性は糖化により、網膜にAGEsがたまることで起こります」

 

血管 高血圧、動脈硬化 など

「糖化によって高血圧になる原因は3つあります。血管壁を構成するコラーゲンが糖化することでAGEsに変性して、血管壁の弾力が低下すること。血管の壁に粥腫やプラークが形成され、血管内壁が狭くなること。そして、腎臓の機能低下によるものです。

 

高血圧が続くと動脈硬化へと進行し、さらに高血圧に…という悪循環に陥ります」

 

 認知症 など

「認知症の代表的なものが、アルツハイマー型認知症です。これはアミロイドβやタウタンパク質が糖化し、変質したものが蓄積することが原因と考えられます」

 

ほかにも、慢性疲労、意欲の減退といった不調も糖化が関係しているといいます。これほどまでも、糖化が全身に影響を与えるいることに驚きます。

 

記事が続きます

 

【教えていただいた方】

米井嘉一
米井嘉一さん
同志社大学 教授
公式サイトを見る

1958年、東京都生まれ。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター/糖化ストレス研究センター教授。日本抗加齢医学会理事、糖化ストレス研究会理事長。公益財団法人医食同源生薬研究財団代表理事。抗加齢医学研究の第一人者として、研究・臨床に従事。近年の研究テーマは「老化の危険因子と糖化ストレス」。著書に『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因「糖化」の正体』(池田書店)など、多数。 米井先生 著書 糖と脂肪で体は壊れる 書影 『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因 「糖化」の正体』著者・米井嘉一(池田書店)

 

 

イラスト/かくたりかこ 取材・文/山村浩子

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