運動で効率よく血糖値コントロール!
「体が『糖化』する原因には、『食事、睡眠、運動』が関係しています。これらの3本柱がひとつでも欠けると老化のリスクが高まります。
※糖化を3ヵ月で改善する基礎知識は第6回参照。
※食事に関しては第7回、第8回参照。
糖化を予防するためには、体内に糖や脂肪をため込まないことが重要です。
筋肉は摂取した糖の約7割を消費します。そのため、運動不足が続いたり、それにより筋肉量が減少すると、摂取したグルコースの消費量が減ります。こうなると血糖値も上がりやすくなり、糖化が進みます。
若い頃は運動すればすぐに痩せられたのに、40歳を過ぎた頃から同じ運動をしても効果が出にくいと感じたことはありませんか?
これを運動抵抗性といい、筋肉の線維を構成するアクチンやミオシンといったタンパク質が糖化してしまい、本来の機能を失っていると考えられます。
しかしながら、適度な運動を続けることで、こうした筋肉の機能もよみがえってきます。すると、より効率よく血液中のグルコースを処理できるようになります」(米井嘉一先生)
運動の種類は問わず、「継続」と「15分長く」を心がけて!
では、適度な運動とはどんなものなのでしょうか?
「とにかく、体を動かさずに『安静』にするような生活を避けることです。運動の種類はなんでもかまいません。何より継続することが重要です。そのうえで今より15分長くを意識してください。
例えば、日課の散歩を今までよりも15分増やすというのでもOK。テニスでもゴルフでも好きなスポーツがあればそれを継続してください。
特に食後に軽い運動を行うのがおすすめです。食後は血糖値が上がるので、そのタイミングで軽い運動をすると、エネルギーとして消費しやすくなります。ただし、激しい運動はNGです。
ゆっくり行うスローウォーキングやハーフスクワット、斜め腕立て伏せといった筋トレを15分行ってください。有酸素運動と筋トレをバランスよく行い、下半身と上半身をバランスよく鍛えるといいでしょう。
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【ハーフスクワットのやり方】
太ももを鍛えておくことは、転倒予防にも役立ちます。フルスクワットだと少しきついという人におすすめなのが、このハーフスクワットです。
1 両足を腰幅くらいに開いて立ち、両腕を胸の位置でクロスします。

2 上体をできるだけそのままで、両膝を45 度くらいまで曲げながら腰を落とします。
続いて、1に戻り、息を整えてから2を繰り返します。反動をつけずにゆっくり行うのがポイントです。
1日10回を目安に行いましょう。
【斜め腕立て伏せのやり方】
腹筋などの体幹や腕(上腕三頭筋)の筋肉を鍛えることも大切です。フルの腕立て伏せだときつい場合は、両膝を床について行う方法がいいでしょう。
1 両手と両膝を床につけて、膝から頭までを一直線にキープします。

2 両ひじをゆっくり曲げて、1に戻ります。このとき上体を真っすぐにキープしたまま、反動をつけずにゆっくり行います。1日10回を目安に!
「年齢を重ねるごとに筋肉量は減っていきます。30歳を過ぎると年間1%、65歳を過ぎると3ヵ月で1%減少するといわれています。特に『機能年齢チェック』で『筋肉年齢』が弱点だった人は、筋トレを積極的に行うといいでしょう。スローウォーキングのほか、階段を下りるだけでもよい筋トレになります」
※「機能年齢チェック」は第3回参照。
「続けられそう」というものでOK! 無理をせずに楽しく習慣にすることがいいようです。
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【教えていただいた方】

1958年、東京都生まれ。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター/糖化ストレス研究センター教授。日本抗加齢医学会理事、糖化ストレス研究会理事長。公益財団法人医食同源生薬研究財団代表理事。抗加齢医学研究の第一人者として、研究・臨床に従事。近年の研究テーマは「老化の危険因子と糖化ストレス」。著書に『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因「糖化」の正体』(池田書店)など、多数。
『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因 「糖化」の正体』著者・米井嘉一(池田書店)
イラスト/かくたりかこ 取材・文/山村浩子


