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細かい手作業で「神経系を刺激する」ことも糖化予防に!

体を糖化させないためには、「食事、運動、睡眠」が大事。それ以外にも心がけたい生活習慣があるといいます。いったいそれはどんなことなのでしょうか? 抗加齢医学、糖化研究の第一人者である米井嘉一先生に伺いました。

朝を充実させて生体リズムを整える

「体内時計という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 私たちの体には時計遺伝子がプログラムされています。これに沿って、自律神経やホルモン分泌などが機能して生命維持がされています。

 

ところが、備わっている時計遺伝子は25時間と、地球の24時間と周期のずれがあります。そのずれを調整するために有効なのが、朝起きて朝の光を浴び、朝食をとること。3つめは朝にタンパク質をしっかりとることです。1日の摂取量の1/3を目標にしてください。

 

これによりずれがリセットされ、自律神経が整い、夜はぐっすり眠り、翌朝は健やかに目覚めるというサイクルが生まれます。

 

朝の時間を充実させ、しっかり3食とり、昼間は活動的に過ごし、夜は心身を休めること。こうして食事や睡眠のリズムを整えて、体調を良好に保つことが、余計な糖化を防ぐことにつながります」(米井嘉一先生)

 

※糖化と睡眠については第6回参照。

 

【快眠を得るために重要なこと】

〇朝の光を浴びる
〇朝ごはんを食べる
〇昼間は活発に活動する
〇夜にはぬるめの湯につかる
〇就寝前にリラックスタイムをつくる
〇就寝前にはパソコンやスマホの作業をしない
〇就寝時は部屋を真っ暗にする

 

全身運動に加えて、細かい手作業の趣味もプラス!

「同じ年齢でも若く見える人と老けて見える人がいます。年齢には実年齢だけでなく、体の『機能年齢』があります。それは、筋肉年齢、血管年齢、ホルモン年齢、骨年齢、神経年齢の5つのカテゴリーに分類されます」

 

※「機能年齢」については第3回参照。

 

最初の4つはなんとなく理解できますが、5つめの神経年齢とはどんなことなのでしょうか? 実はこれも老化という側面では重要だといいます。

 

「神経は脳と体の各部位とを結んで情報伝達をしています。神経も筋肉や骨と同じように、使わないでいると退化していきます。そのため、勉強したり、体を動かしたりすることで刺激を与え合うことが重要です。

 

例えば、ウォーキングのような全身運動をしても脳へ刺激を与えることができます。一方、指先を細かく使うことでは、また脳の違う部分を刺激します。

 

ちなみに、脳は摂取した糖の約2割を消費します。ただし、脳を使うことが前提です。

糖化 生活習慣 絵を描く イラスト

文字を書いたり、楽器を弾く、手芸、陶芸、絵を描くのもいいでしょう。麻雀やゲーム、人とおしゃべりをするのも有効です。脳を使いながら、手先や口、舌といった筋肉を動かすことが重要なのです。

 

記事が続きます

こうして脳神経にまんべんなく心地のよい刺激を与えることで、脳の糖化や認知症の予防にも役立つことがわかっています。

 

私が行っている研究でも、5つの機能年齢のなかでも、要介護の人では特にこの神経年齢の老化が進んでいることがわかりました。

 

『機能年齢チェック』で、神経年齢が弱点だった人は、全身運動と細かい手作業を組み合わせると効果的です。これにより脳の広い範囲の神経を刺激することができます」

 

※「機能年齢チェック」は第3回参照。

 

最近、下記に心あたりはありませんか?

〇初対面の人と会うのがおっくうになってきた
〇ちょっとしたことでイライラする
〇趣味にすぐ飽きて熱中できなくなってきた

 

ひとつでも心あたりがあったら、神経年齢が老化しているかも。「機能年齢チェック」を行い自分の弱点を知って、今から糖化しない生活を心がけましょう!

 

 

【教えていただいた方】

米井嘉一
米井嘉一さん
同志社大学 教授
公式サイトを見る

1958年、東京都生まれ。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター/糖化ストレス研究センター教授。日本抗加齢医学会理事、糖化ストレス研究会理事長。公益財団法人医食同源生薬研究財団代表理事。抗加齢医学研究の第一人者として、研究・臨床に従事。近年の研究テーマは「老化の危険因子と糖化ストレス」。著書に『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因「糖化」の正体』(池田書店)など、多数。 米井先生 著書 糖と脂肪で体は壊れる 書影 『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因 「糖化」の正体』著者・米井嘉一(池田書店)

イラスト/かくたりかこ 取材・文/山村浩子

 

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