これから先、できるだけ長く、
健康で美しい歯を維持する必須7条件
いい歯の状態を保つことは、全身の健康や見た目の若々しさにも直結します。でも、50代からは体のほかの部分が変化するように、歯をはじめ口腔内の環境や機能も変化しはじめます。この変化を見過ごさず、早めに対処することが肝心です。歯科医に大切な7つのポイントを教えていただきました。できているか、習慣化できるかチェックしながら読み進めて!
お話を教えてくれたのは
山口義徳さん Yoshinori Yamaguchi
山口歯科クリニック院長。歯科医。日本大学松戸歯学部卒業。1997年、東京・恵比寿に山口歯科クリニック開設。 日本顕微鏡歯科学会認定医、臨床顕微鏡歯科研究会主幹。顕微鏡やCTを使用し細部までケアする最新治療を行う
1.美しく食べる力を支える舌力も強化せよ
他の筋肉と同じく、舌の筋力も低下しはじめています
口元の健康を考えるとき、歯はもちろん、“舌の機能力”も併せて考えてほしいと山口先生は指摘します。
「私たちは、1日600~2000回も無意識に飲み込む動作、いわゆる嚥下(えんげ)をしています。この嚥下は、嚙み砕く歯の力、飲み込むための喉の力と合わせて、舌の力も重要です。ですが、日常生活で無意識に口呼吸で歯の間から舌が出ていたり、飲み込むときに舌を突き出して歯を押す癖がある人もいます。こういった舌癖がある人は、舌が口の中の低い位置にあることが多く、唇や頰の筋肉が弱いといった特徴があります。さらに、飲み込むたびに歯を舌で押しがちになります。この無意識の動作が、出っ歯や歯に隙間ができるなど、上下の歯の嚙み合わせを悪くする原因になってしまうのです」
嚙み合わせが悪いと、一部分にだけ圧がかかるため、虫歯や歯が欠けるなどの劣化も起こりやすくなります。また、 40代後半からは、舌の筋力も低下するので、舌力の強化は習慣化したほうがいいと山口先生は言います。
「私のクリニックでは、舌トレーニングのプログラムも治療に組み込んでいます。高齢者の死因のひとつでもある肺炎は、この嚥下低下による誤嚥(ごえん) によ るものです。マイエイジ世代であれば十分に舌力や舌癖を改善することは可能です。毎日簡単にできるエクササイズを紹介します」
●舌力のベーシックエクササイズ
口を開き、舌の先を使って、ゆっくりと上唇の右の口角から左の口角までなぞります。早く動かすとあまり効果がないので、できるだけゆっくりと。10往復を1日1回
木のスプーンやヘラ、アイスの棒などを用意します。そのスティックを口の前で持って、舌先を真っすぐにとがらせて触れ、ゆっくりと舌先で押します。1日10回
●気づいたときにやってみましょう
口に水を含み、上向きに口を大きく開いて、ガラガラとうがいをします。そのあと水を吐き出さず、5~10秒止めてから吐き出します
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/伊藤まなび