「見ているのに、実は見えていなかった」「とっさに体が反応できなかった」という経験はありませんか?" 見る力"と"空間把握力"は連動しています。目の動きをよくして、脳の働きを活性化させる"ビジョントレーニング"について、飯田覚士さんに教えていただきました。
目と脳、体の動きが連動することによって、
体のバランスや動きがよくなります
ビジョントレーニングで空間を
把握する力をアップしよう
最近、パソコンやスマホに文字を入力するときに変換ミスが増えている…など、下のチェックリストで該当する項目はありませんか? ふたつ以上当てはまったら"見る力"が衰えているサインです。
「高齢者が転倒しやすいのは、足腰が弱くなっただけでなく、“見る力”と“空間把握力”が甘くなってきたせいでもあります。部屋が散らかるのは、視界に入っても注意して見ていないから。なぜこういうことが起きるかというと、視覚情報は体のバランスや空間把握、注意力と連動しているからです」と飯田覚士さん。
「“見る力”とは、目で見て(視覚で情報を得る)、頭で考えて(脳で適切に処理する)、出力する(体で反応する)ことであり、その一連の動作を鍛えるトレーニングの総称が“ビジョントレーニング”です。40~50代以降、老眼になるのは避けられませんが、“見る力”は生きているかぎり、鍛えることが可能です」
まずは、目を素早く動かしたりスムーズにコントロールする力をつける「眼球運動」(とじ込み付録のトレーニングシート、下の図と次回)を。次に体の平衡感覚を養う「バランス」(次回以降ご紹介)を。さらに正確な空間把握を行えるようにする「運動」(次回以降ご紹介)を。この3つのトレーニングを行うことで、目と手足がうまく連動するようになります。
目のまわりの6つの筋肉が
"見る力"を支えている!
眼球は、6つの外眼筋(左右で計12)の収縮と弛緩によって向きを変えています。「眼球運動」を行って、この6つの筋肉を上手にコントロールできるようにしましょう。近くや遠くを見るときは、毛様体筋という内眼筋が働いて、ピントを合わせる補助を行っています
[あなたの"見る力"をチェック!]
□ パソコンやスマホで文字を打つとき、変換の候補が探しづらくなってきた。
□ 料理や手芸など、手元の細かい作業をおっくうに感じる。
□ 道に迷いやすい。
□ 歩いているとき、人にぶつかったり、足に物をぶつけて、つまずきそうになることがある。
□ 部屋が散らかりやすく、片づけが苦手だ。
□ スケジュール管理が苦手だ。
□ 目が疲れやすく、頭痛や肩コリがある。
"数字探し"眼球運動トレーニング
[1から30までの数字を順に見つけて指でタッチ]
「眼球運動」は図を使って行うこともできます。数字を1から30まで順に見つけて指でタッチしていきます。奇数だけタッチ、偶数だけタッチ、30から1まで逆の順番でタッチするといった応用編も。慣れてきたら、図形の向きを変えて行ってください。
イラスト/かくたりかこ 図製作/GRACE.inc 取材・原文/大石久恵