自分の胸が悲しかった
マンモトーム生検は1時間ほどで終了。
あけた穴は縫合しなくてよいそうで、傷口をテープで止めればOK。傷跡も1~2か月くらいでほとんど目立たなくなるとのことで、そこまで深刻には思っていませんでしたが、帰宅して鏡で見ると、色が変わり、既に手術の後のよう。
出血を止めるために使っていたバンドエイドで乳頭あたりはかぶれまくっていて、目をそむけたくなるような状態の私の胸がそこにありました。
汚い。
嫌だこんなの。
病気になるって、こういうことなんだ。
たぶん今回の出来事の中で、初めて本当に心から実感したタイミングだったと思います。
正直、乳がんかもと言われた時、ショックではあったもののどこか他人事のような、ドラマのような感覚の方が強い状態でした。
職場が混乱していたタイミングでもあり、これをうまく使えば協力してもらえるかも、ということまで頭をよぎったりしました。
でもビジュアルで見た自分の胸は「もしかしたら」のネガティブシミュレーションを疑似体験するには充分すぎるほどだったのです。
容体にもよるのでしょうが、乳がんになり手術が成功したのに鬱になる人は存外に多いということを聞いたことがあります。
その理由はこの後私も段階を追って実感することになるのですが、もしかしたらこの「自分が綺麗じゃない」という認識が、少なからず影響するのかもしれませんね。
でも、まだ乳がんと決まったわけじゃないもの。
今から考えると、落ちたメンタルの中ただ言い聞かせていただけかもしれませんが、さらに数週間後の検査結果を待つ間、仕事や生活の忙しさをいいことに”それ”から目や意識を背ける日々を続けていました。
そして、乳がん判定を受けました
約1ヵ月待って得た結果は、そのかすかな期待も裏切り、ステージ1の乳がんでした。
さらに驚いたことに、乳がんと診断されたのはなぜか左側!
血が出ていたのは右側の乳房だったのに。
ちなみに右はステージ0ですらない良性腫瘍との診断でした。
検査の数日後、なぜか出血も止まってしまったのです。
こんなことあるんだ、、、
マンモトーム生検時に、対象となる腫瘍の部分をかなりしっかり針で突き刺したので、一時的にその部位に滞っていた血が全部出て、出血が止まったのではないか、というような話でした。
出血した理由はいまだわかりません。
とにかく不思議なことですが、これが乳がんを知らせてくれたのも事実。
だって、左なんて自覚症状もなにもなかったのですから。
きっと、出血は身体に初期のがんがあるよと知らせるためのもの。
きっとそう。
だから私は運が強い、絶対大丈夫。
今から考えればおめでたいようにも思いますが、周囲からはこの頃は変に明るく見えたらしい私。わからないことだらけで不安な中、そう思うことでどこか変なテンションを保っていたのかもしれないなと今なら思います。