本番は、さあこれから
乳がんと診断されたことで、今までは指導する立場のようだった男性の先生に主治医が変わりました。たぶん、より具体的で長期の治療を見据えてということなのではないかと思います。
乳がんと診断されたら、次にしなければいけないことは、今後の治療方針を決めることです。
後述しますが、乳がんと診断されたからといって、ドラマのように涙にくれて全部先生にお任せ、というわけにはいきません。人によって違うステージや症状、そして先々の生活の事も考えて、自分にとって一番いい方法を自分で決めなければならないからです。
落ち込んでばかりもいられないので、まずは改めて診断結果についてしっかり説明を聞き、理解することに努めました。わからないから不安なのだと感じたからです。
今ではすっかり「なぜなぜ星人」と化してしまった私ですが、そのおかげか先生とはなんでも聞ける関係を保っています。
そういう意味では先生との相性も大事だと思います。どうせこれからサバイバー生活は長いのです。先生の力量はよく手術の腕などで判断されたりしますが、それと共に説明が理解しやすいか、提案された治療方法に同意できるかなど、そこに至るまでに冷静に判断しておいた方がいいと思います。
私の場合は、初めから説明が大変わかりやすく信頼できた上に、白衣も凛々しいイケメン先生だったのでさらにラッキー!(笑)
とはいえ、ひとつ問題(?)が。
どうも乳腺科というところは、おっぱいのことを「お胸(おむね)」と丁寧に呼称するものらしいのです。
若いイケメンの口から「お胸」という単語が出てくる状況をちょっと想像してみてください。深刻なシチュエーションなのに、その単語が出てくるたびに一体どこから突っ込んでいいのか、最初の頃は相当頭を悩ませていたことをここに白状します。(ちなみに今は慣れました。)
乳がんのステージ判定の目安
乳がんは、主に非浸潤がんと浸潤がんにわかれます。
非浸潤がんは母乳を作るための小葉、その母乳を乳頭に送るための乳管の中にがん細胞がまだ留まっている状態のことで、ステージでいえば0。転移や再発の可能性はほぼない段階です。
がん細胞が乳管や小葉の周囲にまで広がってしまうと、浸潤がんという診断になりますが、乳がんの場合は約80%以上は浸潤がんです。
乳がんの場合はステージは一般的にこのように判断されます。(他のがんだとまた変わります。)
– ステージ0 非浸潤がん
– ステージ1 浸潤がん(しこり2cm以下)、リンパ節転移なし(もしくは可能性少)
– ステージ2 浸潤がん(しこり2~5cm)、リンパ節転移あり(なしの場合も)
– ステージ3 浸潤がん(しこり5cm以上)、リンパ節転移あり
– ステージ4 浸潤がん、しこりの大きさ問わず、他の臓器に転移あり
乳がんは脇のリンパ節に近いので、他のがんよりも転移が起こりやすいのが特徴です。つまり、リンパ節への転移の有無があるかどうかで、判断がかなり変わるのです。
乳房温存が可能なレベルとは
ステージ0、そしてステージ1であっても乳房内にがんや石灰化が広がっていない場合は乳房温存手術が可能と言われます。この場合は、がんの素がまだ残る可能性を鑑みて、手術後は一定期間の放射線治療が必要になります。
それ以上のステージの場合は、一般的にがんを含めて全摘(乳房切除)し、転移が認められたらそのリンパ節の部分も同時に切除しなければなりません。
つまり判断するポイントは、以下の3つ。
– がん細胞が乳房内に留まっているかどうか
– 乳房内であっても、がんが部分切除で取りきれる範囲内に収まっているどうか
– リンパ節に転移しているかどうか
(もちろん人によってこれに当てはまらない場合もあると思います。上記はあくまで参考として読んで頂くようお願いします。)
私の場合は、こんな感じでした。
– 出血していた右の乳房は経過観察(がん診断なし)
– 左側乳房がステージ1の乳管浸潤がん
– 部分切除ができる範囲内のため、乳房温存手術は可能
– 温存を選んだ場合はセンチネルリンパ節生検必須
– 手術後は放射線治療とホルモン剤治療を行う
この材料をもとに、今後の治療について“自分で”決めていかなければならないのです。その治療内容については次回詳しく説明しますね。