「ほぐす」 と 「鍛える」どちらも大切!
股関節の若さを取り戻すセルフケア
スムーズに動かなくなっている股関節は、乾燥してカピカピになったような状態です。関節を動かしてまわりの筋肉を鍛えれば、自前のヒアルロン酸が出て若いときのようにチャキチャキ動けるはず。同時に痛みの元になるこった筋肉はほぐすのが鉄則です。自分一人でできるケアなので、迷わずトライ!
お話を教えてくれたのは…
佐藤正裕さん Masahiro Sato
1976年生まれ。理学療法士。変形性関節症国際学会、日本股関節学会所属。順天堂大学病院リハビリテーション室などを経て、国際学会最新の保存療法をもとに独自のケア法を確立、2010年「股関節ケアサロン銀座プラス」をオープン。著書に『変形性股関節症は自分で治せる!』(学研プラス)など。https://ginzaplus.com/jp/
筋肉ほぐしとプチ筋トレで、痛みの出ない股関節づくり
「衰えた筋肉は鍛えなければ…ということは誰でもわかると思います。それに加え、緊張しすぎたりこり固まった筋肉をほぐすことを忘れないで。股関節ケアに関しては、どちらが欠けてもだめなんです」(佐藤さん)
無意識のうちに使いすぎて硬直化した筋肉が痛みの根源を作らないよう、ほぐしてリラックスさせたうえで、鍛えるべき筋肉は鍛えます。ほぐしに使うのは身のまわりにあるボールなどでよいのでテクニックいらず。
一方、筋トレエクササイズで佐藤先生が推奨しているのは「おしりエクボ体操」(次回に詳しく解説)。簡単なのに「きちんと使える」お尻が手に入りそう!
まず、日常の「歩き」を見直そう!
歩行は片脚立ちの繰り返し。フラミンゴのような姿勢で片方の足裏全体に体重をのせられれば、股関節まわりの筋肉もしっかり使えることに。ポイントは、膝を伸ばして必ずかかとから着地すること、足裏全体に体重をのせること。まずはゆっくりと行ってチェックしてみて。
前に踏み出す脚は、膝を伸ばし、かかとから着地します
足裏全体に体重をのせ、後ろ脚は脱力して引き寄せます
そのまま、体重移動を感じながら、親指で床を押すように
筋肉ほぐしアイテムいろいろ
股関節まわりの筋肉をほぐすには、自分の体重をかけて刺激することができる物を用意して。テニスボールや大きめのスーパーボール、専用のほぐし用ツールも便利です。手拭いを数回固結びするとボール状になるので簡単。好きな硬さで作れます。
筋肉をほぐす・緩める
違和感やこり、痛みがある「問題筋」にねらいを定め、ほぐしアイテムに自分の体重をかけるだけ。どの筋肉も1〜2分キープを目安に。
中殿筋
厚みのある筋肉なのでかなり圧をかけてもOK
アイテムの上にお尻の側面をピンポイントで押し当ててのり、できるだけ体重をかけて。慣れたら揺らしたりして負荷をアップ!
大殿筋
イタ気持ちいい場所を見つけて骨から筋肉をはがすように
お尻の表面にある広くて大きな筋肉。できるだけ体重をかけて、じっくり問題のありそうな部分を見つけましょう
大腿直筋
うつ伏せでのって太ももの前側を丁寧にほぐして
脚の付け根から膝にかけて伸びている大腿直筋にアプローチ。筋肉が重なり合う付け根付近は強めに、膝付近は骨が近いので弱めに
大腿筋膜張筋
ここが痛い人は多いもの! 痛い側を特に念入りに
股関節の脇から伸びる筋肉。途中からは腸脛(ちょうけい)靱帯に変化して膝の側面までつながります。体をひねり角度を少しずつ変えてやってみて
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/蓮見則子