乳がんと診断されたら
乳がんと診断されて、まず気になったことは「私のおっぱい(お胸)」はどうなるの?ということでした。やはり女性です、胸がまるっとなくなると想像することは、安心感が増すことを考えても、やっぱり抵抗感はあります。
さらに、私自身は胸にシリコンなどを入れるほうがより嫌悪感があったので、全摘の場合は多分再建したくならないだろう、とうっすら感じていたので余計悩みました。
前回もお話しましたが、乳がんと診断されて、さあ手術しましょう、となっても、その前にどうするか決めなくてはいけないことはたくさんあります。
大きく分けて、
– (可能な場合)乳房温存手術か全摘手術か
– 全摘の場合は、乳房再建手術をするかしないか
の2つです。
乳房温存が可能な状態とは、前回書いたようにステージ0もしくはステージ1で乳がんが広がっていない場合に限られます。
当然温存できる方がいい、と思いがちですが、話はそう簡単なわけではありません。
乳房温存手術の場合
乳がんと診断されたということは、”がんの素”がその部位に存在しているということです。全摘の場合はそれを全部取ってしまうわけですから話は簡単です。転移がなければ、術後の放射線治療は基本的に必要ありません。(もちろんそれぞれの症状によります)
温存手術の場合、腫瘍部分を除去しきれたかの判断が難しく、再度同様の手術をしなければならない可能性があります。さらには術後に約1ヵ月の放射線治療が必要になります。
また実際に患部をあけてみたら、思ったよりがんの範囲が広がっていたというケースもあり、その場合、今度は全摘手術をせざるを得なくなります。
さらに温存手術では、本当にリンパ節に転移していないかを調べるために、手術中にセンチネルリンパ節生検を実施する必要があります。
これは、手術中にリンパの一部分を採取して、その場で転移の有無を調べるやり方です。この検査でやっぱり転移していると判断されたら、それから全摘手術になる可能性もあるのです。
そして、乳房温存という言葉に惑わされがちですが、通常は除去した部分をうめるために周りを寄せるので、胸の形は変わりますし、どこかいびつになるのは避けられません。「温存」とはあくまで“器官として残す”ことを指しているに過ぎません。
ちなみに胸が大きい人の方が脂肪が多いので、一部を除去しても見た目の影響は少ないのだとか。ペチャパイじゃダメなのね・・・・。
全摘の場合
そう考えると最初から全摘の方が安心なようですが、落とし穴はあります。
まず、当然ですが一度とってしまった乳房は器官としてはもう戻りません。また、全摘が必要ないという診断の場合、それでも手術を選択するなら自己負担になります。
入院期間も当然長引きます。
さらに、全摘手術の場合、同時に乳房再建の手術を受けるかどうかも決めなければなりません。再建手術自体は後からでも可能ですが、同時に実施することも一般的に行われています。当然ながら一度に実施してしまった方が入院期間も短くなりますし、費用面の負担も少なくなるからです。
この乳房再建手術ですが、自分の身体の別の場所の脂肪をとって入れる、もしくは豊胸手術のようにいわゆるシリコンのような素材を入れるなどいくつか方法があります。
自分の体の組織を利用したとしても、きちんと調べてから使わないとマイナスの反応が出たり壊死する場合もあり、そうなると入院期間もさらに長引きます。乳がんの治療と並行して、術前の準備が必要です。
人によっては後遺症が残る可能性も少ないながらあり、再建できるから元通り、というわけでもないのだそうです。
がんと闘うのは、自分
正直、がん宣告を受けたらお医者様の言うことを守っていさえすればOKだと思っていた私。
けれども、先生から説明を受け、今後の相談をしているうちに、がんと闘うのは自分、そう改めて意識せざるを得ませんでした。そう、病気になったのが自分なら、これからどうしていくのかを決めるのも自分なのです。
考えに考えた末、一旦温存手術を行い、それで済むレベルであることに賭けることにしました。