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手術が終わって、退院して。道を歩くのが怖い/50代。乳がんサバイバーになりました。

hijiri

hijiri

都内在住の50代会社員。2019年5月に乳がんと診断される。仕事を続けながら同年10月までに3回にわたる手術を経て、2020年1月に放射線治療が終了。現在は、10年間にわたるホルモン療法薬の服薬を継続、年に一度の検診で経過観察中。放射線治療中も継続したランニングの趣味が高じて、ランニングアドバイザー、スポーツ医学検定2級、ナヴィゲーションスキル ゴールドレベル等の資格を持つ。「琉球茶道ぶくぶく茶」東京分室主催。元おでかけ女史組メンバー。

 

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センチネルリンパ節生検について

 

最近の乳がん手術では、ステージによりますが、温存を選んだ場合、乳房の切除と共に同時にセンチネルリンパ節生検を行うことがほとんどです。

 

私も行ったこのセンチネルリンパ節生検についても、ここで少し説明しておこうと思います。

 

乳がんで転移が最初に疑われる場所、それは脇の腋窩リンパ節です。

 

センチネルリンパ節生検とは、手術前に乳がんの近くに色素を局所注射しておき、これを目印に手術中にセンチネルリンパ節を摘出して、がんがリンパにまで転移していないかどうかを調べることをいいます。

 

手術中に摘出した部分を生検で確認して、もし大きく転移していたらリンパ部分も同時に除去します。がんの転移がない、もしくは0.2mm以下と極小であれば放射線治療で対処が可能なためクリアとみなし、腋窩リンパ節を取る必要はないと判断するのです。

 

以前は乳がん手術では、転移のサイズに関わらずリンパ節を切除していたそうです。しかし、それは後々腕が動かしにくくなったりと色々な後遺症にもつながっていました。

 

そのため、この検査によって必要のないレベルでの切除を避けるようになったのです。

 

私の場合、既にステージが1から2(転移の可能性あり)となっていたため、この生検を行うことは聞かされていました。

 

結果は0.2mmの極小の転移があったものの、センチネルリンパ節生検自体は無事にクリア。ほっと一安心です。

 

手術終了、入院中に気づいたこと

 

手術も無事に終わり、めまいなどの術後の影響もなかったので、その日から基本的には普通に過ごしてよいということになりました。例えば起きて病院内をうろうろする、売店にお菓子を買いに行く、などです。

 

乳がんは内臓系には基本的に影響がないので、体力低下を防いで早く快復するために、むしろ軽く動くことは奨励されますし、食事に関しても特に制限もなく、食べたければおやつも無制限です。

 

とはいえ、やはり全身麻酔から徐々に覚めていくにしたがって、傷口の痛みを感じるようになり食欲はどんどん低下。出された夕食もかなり残してしまったのですが、これが失敗でした。

入院中の患者の健康は病院の責任です。そのため「快復のための栄養をきちんと不足なく摂取できているか」が重要視されます。食欲がないからと大幅に食事を残してしまった私は、結局一晩中点滴を外してもらえなくなってしまったのです。

私は、傷などの痛みにはまあまあ強い方なのですが、針のようなチクチクした痛みにはとても敏感です。点滴の針も、刺しているだけで非常に痛く感じてしまうので、術後で疲れているはずなのに一晩中眠れずに苦しむことになってしまいました。

 

もちろん、点滴は術後麻酔から覚めた後に強い痛みが起こったら、迅速に痛み止めを身体に入れられるメリットもあります。病状によっては、食事の摂取に関わらずつないだままにする判断もあると思います。

 

けれども、もし私と同じように点滴の痛みが苦手な方は、入院中は「ダイエットできるかも?」などと思ったりせず、出された食事はしっかり完食することをお勧めします。

本物はこちら。

生まれたての子鹿のごとく

ちゃんと食べ、丸1日おとなしくベッドで過ごしたら、その翌日には傷もふさがり無事に退院許可がおりました。退院後は前述した通り二週間ほどの自宅療養で、在宅で軽く仕事をしてもいいと許可ももらっています。

 

上にも書いたように乳がんは内臓系にはほぼ影響がないため、生活や食事に制限はほとんどありません。注意すべき点はただ一つ。傷口に対する衝撃、そして血行が良くなるような行為は避けることです。

 

例えばこれらのようなことです。

 

・激しい運動

・入浴

・飲酒

・衝撃(満員電車などで押されることも含む)

 

血行、ってなにか関係あるの?とつい思ってしまいますが、これは患部の血流がよくなることで傷口が開いてしまうのを防ぐため。血行が良くなると内出血しやすくなるからです。

内出血と聞くとそこまで大きな影響もなさそうに感じますが、以前年末ぎりぎりに手術した方が、ニューイヤーのお祝いに一杯だけと乾杯したシャンパンで傷口が開き、緊急手術になってしまったことがあったそうですからゆめゆめ侮れません。

 

反対に、その程度なら自宅療養っていらなくない?と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

自分が手術してみて初めて実感したのですが、そもそも外の道を歩くのがとても怖いのです。健康体の際には全く気にならない、人とすれ違ったり自転車が横を通るなどがとにかく怖い。

 

足や腕をケガして、動きが不自由な状態を想像してもらうといいかもしれません。

 

手元のスマートフォンを見たまま前を見ずにぶつかってくる人、友達とじゃれあいながら爆走してくる子供の自転車などは冗談でなく凶器がこっちに向かってくる!としか感じられません。衝撃の気配を周囲に感じただけで、本当に無意識に肘で自分の胸をかばってしまうのです。

注:あくまでイメージです

 

誇張ではなく、病院への行き帰りは”生まれたての子鹿”状態。できる限り公共交通機関を避け、歩ける場所はひたすら裏道を歩く日々を過ごしました。

 

私の場合はせいぜい二週間の話です。けれども身体の一部が不自由なだけで、ここまで不安になるものなのか。

 

今まで自分が周りをきちんと意識できていたのだろうか、そういう問題を抱える方にも気を配れていただろうか。改めて振り返るきっかけにもなりました。

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