全身麻酔と局所麻酔、どっちにする?
さてさて、一度目の手術では残念ながらがん細胞を取りきることができなかった私。腹をくくって再手術となったわけですが、主治医からは、今回は除去する部分も小さいので希望するなら局所麻酔でもできるけど、どうする?という質問が。
もちろん全身麻酔でもできますが、全身麻酔だと前日からの入院が必要ですし、さらには絶食、そして家族の付き添いも必要になるのは前回の手術で体験済みです。お休みも1日少なくできるし、ちょっと我慢すればありかも?
とはいえ、意識があるままの手術ってどうなのかなと内心悩んでいると、点滴は行うのでそれに眠くなる薬を入れてあげるし、半分寝たような感覚でできるよ、と言われ、それならと今回は局所麻酔での手術にチャレンジすることにしました。
数日の入院期間は必要なものの、手術当日に入院すればいいので負担感は少なくてすみます。前日から絶食の必要もなく、かなり気楽です。
術後は自宅療養もまた必要ですが、除去部分が小さいので前回よりも早く回復できるだろうということで、そこにも希望を持つことにしました。
点滴、さらに苦手になりました(涙)
というわけで、あっという間に再手術のために入院する日が来ました。またもややってくる引きこもり期間に備え、早めに夏休みをとり、食べたいものを思う存分食べ(体重計は無視)、用事はできるだけ済ませて、意識の上では準備万端です。
前回そろえた入院セット(?)を持って、病院に向かいます。今回は前もっての絶食は必要ないものの、入院手続きをしたら当日そのまま手術なので、朝8時以降の飲食は禁止です。手術は午後だったので少しひもじく感じたものの、前回の反省から、ちゃんとお腹を空かせておけば術後の食事も全部食べられるはずだし、今回はさっさと点滴を外してもらおう、などと脳内シミュレーションに余念がありません。
そんな私にとって一番の問題の点滴なのですが、これがなんと今回さらに悲しい事に!
この日も手術の予定は多かったようで、先生方も看護師さんも大わらわ。
少しでもスムーズに手術を始められるように、手術室へ移動する前に看護師さんがいらして、待機中に点滴の針を入れてくれていました。そのままで待機はつらいけど、ここは我慢です。
局所麻酔でも手術は手術、順番が来たら、今回もやっぱり車いすで手術室へ。
手術室について、手術台に乗ります。ここまでは前回と同じ。違うのは目の前に布がかけられていて視界を遮る準備がされていることと、全身麻酔用の設備(吸引器など)がないことです。麻酔医も付き添わないので、前回より人数も若干少ないように感じましたし、最初は先生方も余裕があるように感じました。
こんな感じなら、局所の方が楽かもなあ、などとお気楽に考えていたのですが、手術がなかなか始まりません。さらには、なんだか先生方がばたばたとあれこれ相談したり動き回っている気配もします。
「え、なんかトラブル??」
不安に思っていると、主治医が来て言うのです。
「小林さん、すみません、点滴がうまく入っていないので、もう一度針を刺していいですか?」
えええーっ!痛みの我慢損だったの?!
実は、点滴の針は、手の甲のあたりが入れやすい反面、痛みを強く感じがちになるそうです。私はどうも血管が見えにくいうえに細いらしく、できる限り痛みが少ない肘に近い部分に刺してくれていたのですが、その思いやりがあだになり、せっかく痛みに耐えて刺した針がうまく血管にまで到達していなかったようなのです。
そういえば、造影剤の時もほぼ同じ事があったような・・・(遠い目)
もう一度刺すにしろ、同じ腕で何度も刺し直すと血管が傷ついた状態で点滴が漏れる危険があるらしく(管に穴が開いているみたいな感じでしょうか)、万が一を考え、結局反対側の腕に改めて刺すことになってしまいました。
両腕のちくちくした痛みを我慢しながら、正直、自分の血管をここまで恨めしく思ったことはなかったかもしれません。
意識ある手術ってシュールすぎました
そんなショックと痛みのせい?もあったのかもしれませんが、私はもともと麻酔が効きにくく、主治医の言っていた眠くなる薬がもう一つ効かない感じのまま手術が始まりました。
もちろん、患部は麻酔のおかげで痛くありませんし、目の前にかけられた布のおかげで切ったり縫ったりはもちろん見えません。触られている感覚もなく、ただ自分の身体の上をなにかが鈍く動いているという感覚です。とはいえ、いる場所は手術室ですし、比較的意識ははっきりしていて周囲の気配もわかるので、これがなんともシュール!
確かに局所麻酔だと事前の準備もなくて楽だったのは前述のとおりです。
けれども、手術中に先生方がまめに声をかけてくださるのも申し訳なく、手術のことだけ考えたらもしかして全身麻酔の方が意識もないし楽だったのかも?(点滴の針事件も含め)などとぐるぐる考えているうちに、いつの間にか手術は終わったのでした。