健康診断を受けた際に目にする「血糖値」。自分は正常値だったからと安心していませんか? 実は今、この数値だけでは判明しない「隠れ高血糖」の女性が多数いることがわかってきたのです――。
血糖値と健康の関係について、どこまで知ってる?
お話を教えてくれたのは…
山田 悟さん
Satoru Yamada
1970年生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。2007年、北里大学北里研究所病院糖尿病センター長に就任。緩やかな糖質制限食=ロカボでよりよい社会の実現を目指す、食・楽・健康協会代表理事
血糖値って?
血液中のブドウ糖の濃度のこと
「血糖」とは血液中のブドウ糖(グルコース)を指し、「血糖値」はその血糖の濃度を表したもの。ブドウ糖は食事をすることで血液中に取り込まれ、インスリンというホルモンの働きで体を動かすエネルギーとして使われます。また肝臓、筋肉、脂肪組織にも取り込まれ、エネルギーが不足したときに備えて貯蔵されます。
インスリンって?
膵臓(すいぞう)から分泌される、血糖値を下げるホルモン。肝臓や筋肉、脂肪の細胞表面にあるインスリン受容体と結合することで、ブドウ糖を細胞の中に取り込ませます。ブドウ糖が細胞の中に入ると栄養が届いたことになり、血液中のブドウ糖も減って正常な血糖値に戻るのです。
血糖値はなぜ高くなる?
ブドウ糖が血管内にたまってしまうから
インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンで、肝臓ではブドウ糖を血液中に放出しないよう抑える働きをします。通常、血糖値は一定の濃度に保たれていますが、インスリンの分泌が遅くなったり分泌量が減ったり、働きが悪くなると血液中のブドウ糖が血管内にたまりやすくなり、その結果、血糖値が高くなってしまうのです。
高血糖って?
空腹時の血糖値が100㎎/dl以上
正常な血糖値は、空腹時で70~100(110)㎎/dl、食後でもインスリンの働きで70~140㎎/dlの範囲に保たれています。普段、私たちが健康診断で測るのは空腹時の血糖値ですが、この値が100㎎/dl以上の場合に「血糖値が高め=高血糖」だと診断されるのです。
高血糖だとどうなるの?
血糖値が高めイコール糖尿病予備軍です!
血糖値が高いということは、ブドウ糖を細胞に取り込んで血糖値を下げるインスリンの働きが低下していることを意味します。インスリンの分泌が減ったり効果が落ちるなどして、血糖値が慢性的に高い状態になるのが糖尿病。空腹時血糖値の異常は、糖尿病を発症する1~2年前から見られるようになるため、血糖値が高め=糖尿病予備軍といえます。
血糖値スパイクって何?
食後、短時間で起こる血糖値の急上昇・急下降!
「血糖値スパイク」とは、食後、短時間のうちに血糖値が乱高下することをいいます。放っておくと動脈硬化が進んで血管が傷みやすくなり、炎症や酸化ストレスを起こしがちに。最近では認知症との関係も指摘されています。食後に疲労感を感じたり、強い眠気を感じたりする人は、この血糖値スパイクの可能性があるかもしれません。気になる人は、食後の「血糖自己測定」をおすすめします。これは専用の機器を使い、食べはじめたときから1~2時間後くらいに血糖値を計測するもの。日々のデータを記録することで、自身の血糖値の変動が確認できます。
男女差はあるの?
女性の場合、痩せていて高血糖という人も多い
わずかですが、男女比では男性のほうが糖尿病患者が多いといわれています。男性はメタボ体型になる人が多い一方、女性は「痩せていて高血糖」という人も多いのが特徴。日頃からサラダやスムージーが中心の食生活で、タンパク質や油などのエネルギー源をとっていない人は要注意です。
イラスト/本田佳世 構成・原文/上田恵子