いい医療を受けたいなら、患者力を身につけなきゃ!
医師を味方につけるのに必要なのは、自分自身の「患者力」。さまざまな分野のドクターたちに"医者の本音"も交えて患者力アップの秘訣を聞きました。
今回お話を伺った先生方
島田菜穂子さん
乳腺専門医、放射線科専門医、スポーツドクター。
認定NPO法人「乳房健康研究会」を立ち上げ、
ピンクリボン運動にも尽力している。
http://www.pinkribbon-breastcare.com
今津嘉宏さん
外科医、漢方医。西洋医学と漢方医学を組み合わせ、
内科や、 がん漢方、漢方産婦人科などを受け持つ異色の専門医。
講演活動、テレビ出演も多く、著書も豊富。
http://imazu.org
平松 類さん
現在、二本松眼科病院、彩の国東大宮メディカルセンター、
三友堂病院で眼科医として勤務。
テレビ出演のほか、執筆活動に励み、ベストセラーも多数。
http://www.nihonmatsu.net/
産婦人科医、医学博士。専門は周産期学、ウィメンズヘルス。
NPO法人「女性医療ネットワーク」ほか、
女性の健康のために啓蒙活動を行い、著書も多数。
http://www.w-wellness.com/
医療機関に行く目的はただひとつ、自分の困りごとを解消すること、病気を治すこと。
そのための心構えをしっかり持ち、準備しましょう。
◆自分の症状について事前に調べておくべき?◆
最新の情報があふれている時代。やはり知識は持っていたほうがいいでしょうか?
「 情報を仕入れすぎて頭がこり固まっていると、こちらの話が耳に入らない。収集はほどほどに」(島田先生)
「何も調べる必要はありません。豊富な知識と経験を持っているのが医者 ですから、医師に任せて」(今津先生)
「病名がわからないうちは、症状だけで調べないほうがいい。病名がわかった時点で調べましょう。ただ、僕は自分の本で治療方針まで説明していますが、患者さんが事前に読んでおいてくれると理解の助けになります」(平松先生)
「女性の体について、基本的なことを知らない人が多すぎます。説明するのに時間がかかるので、私は『女性ホルモン塾』という健康講座を始めました。こうした場もぜひ利用して、自分の身にトラブルが生じる前から正しい知識を身につけてほしい」(対馬先生)
◆医師の態度が威圧的でうまく話ができないんだけど…◆
気軽に質問できない雰囲気の医師や、電子カルテの画面に向かったまま目を見てもくれない医師も…。「そういう医師と無理にコミュニケーションをとろうとしても無駄です。修飾語は省いて『頭が/痛い/苦しい』など、最も訴えたいことだけに」(今津先生)
「医師も人間、いろんな人がいます。単なる専門家だから上手に使いこなしてやろうという気持ちで、気後れせずに言いたいことを伝えて。それでもダメなら転院を」(対馬先生)
「上から目線で嫌な態度の医師がいるのも現実です。どうしてもその医師にかかりたいのでなければ、運が悪かったと思って次に行きましょう」(平松先生)
◆家族や友人と一緒に 行ってもいい?◆
症状がつらい場合や、自分だけではうまく話ができそうにないときなど、家族や友人に付き添ってもらったほうがいい?
「ご主人や娘さんと一緒だと、自分自身で治療方針などを決められなくなります。治療の主体はあくまでもご自身。できればお一人で来てください」(対馬先生)
とはいえ、「命にかかわるような場合は、信頼のおける人と行くべき。ただし、友人はあくまで他人。責任能力のある肉親や伴侶と一緒に話を聞く必要があると思います」(今津先生)
◆診察中に録音やメモは?◆
医師の話はメモや録音をしたほうがいいと聞きます。
「問題ないですが、メモ帳を探したりスマホ操作に手間取ったりしないよう、あらかじめ準備を」(対馬先生)
「身構えてしまう医師もいるので、録音する際はひと言かけて。スマホで何でも撮りたがる人もいますが、撮る前に確認を。医師の顔なんか撮らないでくださいね」(平松先生)
「集中して話を聞いてほしいので、うちではメモが必要ないよう、その日の内容をプリントしてお渡ししています」(島田先生)
●ズバリ、患者力とは?●
患者力とはコミュニケーション能力。
相手に、いかにわかりやすく自分のトラブルや問題点を伝え、
いかに真剣に相談に乗ってもらえるかが重要です。
(今津先生)
【時には「ちゃんと診させる」努力も必要】
医療機関のホスピタリティが向上し、医師も看護師もずいぶん対応が優しくなりました。とはいえ、コミュニケーションが苦手な医師や”オレ様”なドクターも少なくありません。そんな医師に当たってしまったら、患者の側も頭を働かせて。例えば、診察室に入ったら医師の目を見て「おはようございます♡」とニッコリ。しっかり会話できる主体として医師の気持ちをこちらに向けさせるなど、ちゃんと自分を診させるための工夫も必要ですね。
次回は、よりよい医療を受けるためのポイントについて詳しくご紹介します。
イラスト/マスリラ 構成・原文/蓮見則子