多焦点レンズには、2焦点、3焦点の違いのほか、
メーカーによる差なども
日々進化してはいますが、 まだ課題もあります
多焦点眼内レンズを入れると、近くと遠くの両方が見やすくなります。ただ両方とも中途半端な見え方になってしまう点は否めません。感覚としては、遠近両用のコンタクトレンズを使用しているときの感じに近いですが、コンタクトよりは眼内レンズのほうがクリアに見えるでしょう」(ビッセン先生)
手元ははっきり見たいが遠くはメガネでもかまわない(またはその逆)、という人は、単焦点レンズのほうがストレスがなくおすすめだそう。また現在、先進医療として認められているのは国内承認の多焦点眼内レンズですが、海外から未承認レンズを取り寄せているクリニックもあります。
「眼内レンズは日々進化しており、国内承認レンズだけでも十分に対応が可能です。その一方で、グレア現象(暗い場所で明かりをまぶしく感じる)、ハロー現象(明かりの周囲に光の輪が見える)、コントラスト低下(クリアに見えない)といった多焦点レンズの課題は引き続き抱えています」
ハロー現象は明かりの周囲に光の輪が見える現象です
最近は、2焦点に加え、遠・中・近が見える3焦点レンズや、焦点を結ぶ領域が広く、ハローやグレアが少ないEDOF(イードフ)レンズも登場。とはいえ2焦点に比べて見え方が劇的 に向上したとはいえないそう。
「すべての距離がよく見える近未来的なレンズが開発されたとしても、多焦点の欠点をすべて解消できるかというと、数年中には難しいでしょう」
2焦点レンズは遠くと近くにピントが合って中間が見えづらく、
3焦点は遠・近・中間のすべてが見えます
次回は、現在、保険でできる多焦点眼内レンズの手術について詳しくご紹介します。
イラスト/浅生ハルミン 取材・原文/上田恵子