整形外科的な「腰・背中の痛み」、ストレス性の「腹部の痛み」とは少し違った各部の痛み。そこには思いがけない病気が隠れていることも…。それを見逃さないためにも、併発する症状などから、隠れた病気の可能性をチェック！
今回の話を伺った先生
竹村洋典さん
Yousuke Takemura
総合診療医。東京医科歯科大学医学部附属病院・総合診療科科長。同大学院 医歯学総合研究科 全人的医療開発学講座 総合診療医学分野教授。三重大学名誉教授
腰・背中の痛み
ぎっくり腰などの整形外科的な症状だけでなく、内臓からきている可能性も。特にここでは隠れた内臓の病気を紹介します。
体を動かして痛い場合は整形外科的な症状の可能性が高い一方、動かさなくても痛む場合は上記のような病気が考えられます。「骨髄炎」は骨髄に細菌が侵入して炎症を起こす病気（下記「発熱を伴う」を参照）。「尿管結石症」は尿管に結石が生じるもの。「大動脈疾患」は最も太い血管である大動脈に生じる病気で、大動脈瘤や大動脈解離などは命にかかわるので注意が必要。がんの場合もあり得ますので、下記の「痛みが長引く場合」もご参照下さい。
「がん」では前立腺がん、乳がん、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などが考えられます。「大動脈解離」とともに危険な腰痛なので、早めに医療機関に！
水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症。水ぼうそうのウイルスが神経節に潜伏し、加齢やストレスで免疫が低下したときに発症します。通常３週間ほどで治りますが、長期化したり合併症を起こす場合も。内科や皮膚科で早期治療を。
細菌などが骨髄に感染して起きる感染症。急性と慢性のものがあります。糖尿病や慢性腎臓病などで免疫が低下している人に発症しやすく、慢性化することも。痛みに加えて、発熱するのが特徴です。
腹部の痛み
ストレス性の胃痛なら、市販の胃腸薬ですむこともありますが、激しい痛みの場合は迷わず医療機関の受診を。急を要するものもあります。
若い人の場合は急性虫垂炎、大人の場合は大腸にできた憩室（くぼみ）に炎症ができる「大腸憩室炎」の可能性が。憩室は便秘の人にできやすい傾向があります。
尿路結石症の中でも尿管に結石があるのが「尿管結石症」。脇腹の激しい痛みと、吐き気や血尿が出ることも。痛みが落ち着いても、きちんと治療することが大切。
胆石が胆管にあるのが「総胆管結石症」で、胆石が出口をふさぐと激しい痛みが。また、胆嚢内に炎症が起こる「胆嚢炎」では、痛みに加えて発熱や嘔吐も。
膵臓に急性的に起こる炎症で、原因として多いのはお酒の飲みすぎと胆石です。比較的軽症なものもある一方で、他の臓器にまで影響を与えて多臓器不全を引き起こし、死に至る重症なケースもあります。上腹部の痛みに加え、吐き気や発熱を伴う場合も。あお向けになると痛みが増す場合は注意が必要です。
イラスト／木下綾乃 構成・原文／山村浩子
