年齢とともに増える「尿の異常」、「皮膚のかゆみ」、「ものが飲み込みにくい」という症状にも、思いがけない病気が隠れていることが…。それを見逃さないためにも、併発する症状などから、隠れた病気の可能性をチェック!
今回の話を伺った先生
総合診療医。東京医科歯科大学医学部附属病院・総合診療科科長。同大学院 医歯学総合研究科 全人的医療開発学講座 総合診療医学分野教授。三重大学名誉教授
尿の異常
頻尿、残尿感、排尿時に痛みがある「膀胱炎(ぼうこうえん)」は最も頻度の高い疾患ですが、ほかにも、こんな病気の可能性が。
「過活動膀胱」は、神経のトラブルや骨盤底筋の緩みで尿の排泄をコントロールできない状態。「膀胱がん」は、赤や茶色の尿が代表的な症状で、頻尿や排尿痛も。
尿道の出口から侵入した細菌が尿路をさかのぼり、腎盂や腎臓に起こる感染症です。急性の場合は多臓器不全から命を落とすこともあるので、早急の対処が必要です。
咳やくしゃみ、重い物を持ったり運動時など腹部に圧力がかかると起こる尿もれ。骨盤底や尿道を締める筋肉を鍛えるトレーニングを。
ものが飲み込みにくい
年齢とともに増える症状のひとつ。喉や食道に異常があるのかもしれないので、一度、医療機関に相談すると安心です。
飲み込んだものは重力や食道のぜん動運動によって胃に運ばれますが、それがうまくいかなくなる病気。食道がんの発生率が高まるので、早めの治療が必要です。
「食道がん」の初期には症状がないことが多く、食べ物が飲み込みにくい場合は進行がんの可能性があるので医療機関へ。誘因は過度な飲酒や喫煙などです。
飲み込む力が低下する症状で、高齢者になると誰にでも起こり得ます。重症化する前に首や肩のストレッチ、唇や舌、頰を動かすトレーニングを行うのも有効です。
皮膚のかゆみ
更年期世代になると、突然皮膚が敏感になることも。重症化する前に皮膚科に相談するのがおすすめです。
かゆみのある湿疹が慢性的に発生し、改善と悪化を繰り返します。アレルギー体質や皮膚のバリア機能の低下で起こり、大人になってから発症するケースもあります。
「じんましん」は時間がたつと自然に消えます。「皮膚血管炎」は血管壁に炎症を起こす疾患群。多くの疾患があり、診断と治療には複数の専門医が必要なことも。
皮膚が刺激物質やアレルゲンに触れることで発症する炎症性の湿疹。治療はステロイド剤外用薬で症状を抑えることが第一選択です。
イラスト/木下綾乃 構成・原文/山村浩子