ちょっとした階段の上り下りですぐに起こる息切れに体調は悪くないのに長引く咳…、もしかしたら体のSOSかも。そんな呼吸機能について、呼吸器外科医の奥仲哲弥先生にお伺いしました。
奥仲哲弥さん
Tetsuya Okunaka
呼吸器外科医。医学博士。山王病院副院長・呼吸器センター長。国際医療福祉大学医学部呼吸器外科教授。専門は肺がん治療で、呼吸法や呼吸筋ストレッチなどの普及にも尽力。著書に『医者が教える 肺年齢が若返る呼吸術』(学研プラス)
「息切れ」「長引く咳(せき)」は肺機能の低下の第一歩!?
鼻や口で吸った空気は気管を通り、気管支で左肺と右肺に分かれて肺の内部に入ります。肺の中ではさらに枝分かれしながら、肺胞という袋状の組織へ。
ここで、吸った酸素と体内から戻ってきた二酸化炭素の「ガス交換」が行われ、新鮮な酸素は血流に乗って全身の細胞へ、二酸化炭素は呼気として外に排出されます。
「しっかり呼吸できていれば十分な酸素が全身に供給されますが、日常的に浅い呼吸をしていると肺の機能の一部しか使われないため、すぐに酸素不足になって息が上がります。これが息切れです。
また、咳は侵入した異物を排出するための重要な反応です。たんがからんだ咳などは、咳止め薬でむやみに止めてはいけません。しかし、長引く咳には重篤な病気が隠れていることもあります」
息切れや長引く咳は、肺が訴えている“呼吸機能の低下”のSOSかもしれません。「年だから」と放置せずに、早めの対処が必要です。
鼻や口から吸った吸気は気管を通り、左右の肺に。さらに枝分かれした先にある肺胞(黄色の部分)で、二酸化炭素と入れ替える「ガス交換」が行われます
イラスト/Marcus Oakley(CWC TOKYO) 取材・原文/山村浩子