抗酸化作用のあるポリフェノールや食物繊維、バランスの良い食生活で、脳にも体にも健康的な習慣を身につけましょう。
教えてくれた人
山口晴保さん
Haruyasu Yamaguchi
医師、群馬大学名誉教授、認知症介護研究・研修東京センター長、日本認知症学会名誉会員。脳βアミロイド沈着機序をテーマに30年にわたり病理研究を続け、その後、臨床研究に転向。より実践的な認知症医療・ケアに取り組んでいる。著書多数
ポリフェノールとは、植物が光合成を行うときなどに作られる、苦味や渋味の成分。「このポリフェノールが、アルツハイマー型認知症の原因物質が脳にたまるのを防ぐという研究報告が多数あります」(山口晴保先生)。
例えば、赤ワインに含まれるミリセチンやカレーの香辛料や生薬として知られるウコンのクルクミンに高い効果が。また、石川県で行われた調査では、カテキンを含む緑茶を毎日飲むと、認知症リスクが低減するという結果も出ています。
近年、腸内環境が脳にも関与するといわれています。「腸の炎症が脳の炎症を引き起こし、気分や感情、認知機能にも影響する、“腸脳相関”という考えです。腸内環境を整える食物繊維や発酵食品の摂取はおすすめです」。
また、大豆イソフラボンに腸内細菌が働いて作られるエクオールという代謝産物の生成能力がある人は、ない人よりも認知機能が高いという調査結果が。野菜に含まれる葉酸が認知症リスクを軽減するという報告もあります。
「糖尿病があると、動脈硬化やアミロイドβの沈着が進み、アルツハイマー型認知症や血管性認知症のリスクを高めると考えられています。認知症の予防にも、糖尿病にならないための食事はひとつの目安になります」。
具体的には、白米より玄米、野菜をたっぷり食べて、タンパク質は肉より魚を。多品目を少量ずつバランスよく食べるのがポイント。肉やスイーツを食べすぎず、すべての食品をまんべんなくとり、食べすぎないことです。
写真/高橋ヨーコ 取材・原文/山村浩子