なんとなく知っているようで、実はどちらが正解かわからない…。多くの人が勘違いしていそうな「目の常識」クイズ。あなたは自信を持って答えられますか?
お話を伺ったのは
平松 類さん
Rui Hiramatsu
日本眼科学会認定眼科専門医、医学博士。二本松眼科病院副院長。わかりやすい解説でメディアでも活躍。著書多数
目の老化を防ぐ生活習慣を身につけて
最近、遠くを見て近くを見るとすぐにピントが合わない、手元が見えにくくなった…ということはありませんか? これはまさに「老眼」の症状ですが、「実はこうした症状は、若い世代にも増えています」と平松類先生。
「手元が見えにくくなるのは、正確には“ピントを合わせる能力が落ちている”ということです。物を見るときに働いている毛様体筋も、使い続けていると、体の筋肉と同様にこり固まってしまいます。特に、近くを見るときは収縮させるので、より力が必要です。
また、液晶の明るい光をずっと見続けていると、目の乾燥などで涙の質が悪くなったり、眼球の奥の網膜の酸化も進みます。目のトラブルは加齢も原因のひとつですが、スマホやパソコンが手放せない現代においては、年齢を問わず起こり得ることなんです」
逆に言うと、生活習慣の工夫次第で目の健康は守られる、ともいえます。
「意外と間違った情報や勘違いを信じていることもあるので、まずは正しい知識を得ること。そのうえで、毛様体筋の柔軟性を維持するストレッチや目と連携した脳トレをしたり、日頃のちょっとした心がけで、自分の目の健康を守る習慣を身につけましょう」
Q 100%カットすべきは…
Aブルーライト or B紫外線
最近はブルーライトの目への悪影響が取り上げられていますが、答えはB。
「確かにブルーライトも強いエネルギーを持っていますが、強さでは紫外線のほうが格段に上で、白内障や加齢黄斑変性などの病気の原因にもなります。ブルーライトはディスプレイだけではなく、太陽光をはじめLEDや白熱電球などにも含まれていて、完全にカットするのは無理です。
しかも、人の一日の体内リズムを整える重要な役割も果たしているので、100%カットしてしまうと体に支障が出ます。一方、目を守るという観点では、紫外線はサングラスなどで100%カットするのがベストです」(平松類先生)
Q 老眼を感じたら…
A老眼鏡をすぐかける or B先延ばしにする
答えはA。
老眼が始まってすぐにメガネをかけると、進行が早まる気がする…と思っている人は少なくありません。
「それは大きな勘違いです。そう思うのは、視力の低下が始まったタイミングでメガネをかけはじめるから。その後の視力低下はメガネのせいではなく、かけなくても進行します。むしろ、見えにくいのに無理して見ようとすれば、目が疲れるだけでなく、肩こりや頭痛を引き起こしたり、仕事の作業効率も落ちてしまいます。
特に遠近両用メガネは初期の頃から使わないと慣れないので、早くからかけるのがおすすめです」。手元が見えにくい、と感じたら、我慢せずにかけるのが正解!
イラスト/macco 構成・原文/山村浩子