血圧が高いと、私たちの体にどんな影響を及ぼすのでしょう? 人体の重要な器官である脳と心臓について数値でわかりやすく解説します。
お話を伺ったのは
市原淳弘さん
Atsuhiro Ichihara
東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科教授。日本内分泌学会内分泌代謝科専門医。日本高血圧学会理事。高血圧治療の第一人者として、日々患者に向き合う。著書に『食べ方、座り方、眠り方で下がる! 血圧リセット術』(世界文化社)など
脳卒中のリスク
3.3倍以上!
血流が悪くなると血管に血栓ができやすくなります。脳卒中のリスクは“血圧がやや高い”と言われた人で1.7倍。上の血圧140㎜Hg以上の人では、そのリスクは3.3倍以上に。耳鳴りなどのサインに、日頃から注意を。
脳のシナプスが
20%消滅する!
高血圧による動脈硬化で脳の血液循環が悪くなると、「記憶」や「学習」「ひらめき」などの機能を司る海馬のシナプス(神経回路)に著しいダメージを与えます。シナプスが脳に情報の電気信号を送れなくなり、もの忘れがひどくなることも…。
心筋梗塞のリスク
2倍以上!
高血圧になると心臓の拍動回数が増加し、心臓の負担は大きくなります。すると、心筋梗塞のリスクはなんと2.1~2.3倍に。さらに肥満が重なると、そのリスクは8倍に急上昇! 体重コントロールにも気を配って。
血圧が高いと
3万回多く心臓が拍動する
全身に血液を送っている心臓の1日の拍動数は約10万回。1分間に平均約60~70回です。ところが高血圧で血管が硬くなると、より多く心臓を動かさなければならず、1日約13万回、1分間で約90回にもなります。
心臓が
50g重くなる
心臓の重さは平均約200gほど。高血圧で大きな負担がかかると心臓の壁が厚くなり、約50g(卵1個分)も重くなります。心臓が肥大すると心筋細胞がダメージを受けて血栓ができやすく、脳梗塞のリスクも高まります。
[参考文献]
『食べ方、座り方、眠り方で下がる! 血圧リセット術』(市原淳弘著/世界文化社)、『「治せる高血圧」を見逃すな!』(市原淳弘著/学研プラス)、『高血圧 最高の治し方大全』(市原淳弘共著/文響社)
イラスト/寺田久美 取材・原文/安齋喜美子