健康診断とはそもそも何が目的で、何を検査して、何に役立てるの? まずは肥満度・血圧・脂質代謝・肝機能の検査で解る症状を理解するのが、“健診”上手になるための初めの一歩!
お話を伺ったのは
大竹真一郎さん
Shinichiro Otake
おおたけ消化器内科クリニック院長、消化器専門医。高校中退から医師を目指すという異例の経歴を持つ。歯に衣着せぬ発言で、テレビやメディアでも活躍。著書多数
肥満度の検査
内臓脂肪の蓄積状態をチェック!
身長と体重からBMI(体格指数)で肥満度を、また腹囲(へそまわり)を測定して内臓脂肪の蓄積度(あくまで推測)をみます。いわゆるメタボ診断に含まれ、これらから肥満と判定されると、将来的に動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるとみられます。
腹囲は男性なら85㎝以上、女性なら90㎝以上。BMI(体格指数)は25.0以上、18.4以下は要注意です。
「BMIや腹囲が正常でも、血圧や脂質代謝、血糖が高ければ“隠れメタボ”。総合的に判断することが大切です」(大竹真一郎先生)
血圧の検査
血圧管理の目的は将来の血管の病気を防ぐこと
心臓が血液を送り出す収縮期の血圧(最高血圧)と、心臓が弁を閉じているときの拡張期血圧(最低血圧)を測定。上・下どちらかでも正常値より高いのが高血圧(最高血圧が130以上、最低血圧が85以上)で、心筋梗塞や脳卒中など血管の老化による病気リスクが高まるので生活改善が必要。
「血圧はさまざまな要因で変動するので1回の測定では判断できません。日中は安定していても朝は高いといった場合もリスク要因になります」(大竹真一郎先生)
脂質代謝の検査
更年期以降は数値が上がるのが普通です
血液中の血清に含まれる脂質の量からわかるのが、中性脂肪値、総コレステロール値、LDL(悪玉)コレステロール値、HDL(善玉)コレステロール値。
「基準値は心筋梗塞や脳卒中など血管の病気になる確率から導き出したもの。基準値から外れた場合は生活習慣の見直しを」(大竹真一郎先生)
女性は閉経後に値が急に上がるのが一般的ですが、高い人は念のため頸動脈エコーで動脈硬化の有無をチェック!
肝機能の検査
肝臓の機能の状態をみています
血液中の酵素やタンパク質の量を測定し、間接的に肝臓の状態をみる検査です。一般的に調べるAST(GOT)とALT(GPT)は肝細胞の中にある酵素で、肝細胞が壊れるとこの数値が上がります。γ-GTPは肝臓内の胆管で作られる酵素で、解毒作用に問題があると高くなります。
「お酒だけが原因ではありませんが、これらの数値が高く、日頃飲みすぎている人は改善しましょう」(大竹真一郎先生)
イラスト/小迎裕美子 取材・原文/山村浩子
※次回は、血糖、腎機能、貧血の検査について教えていただきます。