乳がん検査のマンモグラフィや超音波検査など、がん検診の有用性やリスクを知って、賢く受けましょう。
お話を伺ったのは
大竹真一郎さん
Shinichiro Otake
おおたけ消化器内科クリニック院長、消化器専門医。高校中退から医師を目指すという異例の経歴を持つ。歯に衣着せぬ発言で、テレビやメディアでも活躍。著書多数
マンモグラフィは40歳以上なら2年に1回!
乳がんは現在、女性の11人に1人がかかるといわれています。日本では40歳以上の女性を対象に、2年に1回の乳がん検査が推奨されています。ちなみに諸外国の推奨年齢は50歳以上が一般的。
「マンモグラフィも被曝というデメリットがあり、特に若い層では病変が見つけられないケースも多く、40歳未満の人が受けるのには適していません。
しかし、特に50歳以上ではメリットのほうが多いので受診をおすすめします。また超音波検査(乳腺エコー)は被曝の心配はありませんが、死亡率検証効果が不十分。マンモとの併用も効果は不明です」(大竹真一郎先生)
検診で見つからないがんもある
「例えば、乳腺濃度が高い高濃度乳房(デンスブレスト)の人は、マンモグラフィではしこりが見えにくく、検診では発見できないことがあります(高濃度乳房の場合は超音波検査を追加する選択肢も)。
すい臓がんは、臓器が胃の裏側にあるので見つけにくく、肺の入り口部分のがんもX線では写らないことがあります(この場合は喀痰検査が有効)。胃の粘膜下に広がるスキルス胃がんも早期発見が難しいことが多いですね」
検診を受けたからといって必ずしも病気の早期発見ができるわけではないことも、知っておきましょう。
子宮体がんの検査も定期的に受けるべき?
現在、子宮がん検診といわれているのは、すべて「子宮頸がん」の検査。では子宮体がんの検査は定期的に行わなくていいのでしょうか?
「子宮体がんの場合は不正出血などの自覚症状があります。子宮体部の細胞診は痛みを伴うことから、検査は症状がある人が対象。気になる症状がある場合は早めに婦人科を受診し、検査と治療を受けてください」
イラスト/小迎裕美子 取材・原文/山村浩子