「ピロリ菌検査」「ABC検診」など、胃がんのリスクを判定する検査について、消化器専門医の大竹真一郎先生に伺います。
お話を伺ったのは
大竹真一郎さん
Shinichiro Otake
おおたけ消化器内科クリニック院長、消化器専門医。高校中退から医師を目指すという異例の経歴を持つ。歯に衣着せぬ発言で、テレビやメディアでも活躍。著書多数
Q
ピロリ菌の検査は本当に必要ですか?
A
胃がん予防を考えるなら受けるべし!
「ピロリ菌は胃にすみつく細菌で、胃がんの原因の99%がこのピロリ菌の感染です」。検査方法は血液検査や尿素呼気試験など。
「感染が判明したら、除菌する場合は抗生剤を1週間飲みます。1回での除菌成功率は75%、2回で97%です。ピロリ菌がいなくなると、胃酸の濃度が上がり逆流性食道炎のような症状が出ることがありますが、それより胃がん予防のメリットのほうが高いので、私は有用だと考えています」(大竹真一郎先生)
Q
胃がんリスク検査のABC検診ってどんなものですか?
A
リスクをABCDの4群に分類するもの
「ピロリ菌に感染していると、胃の粘膜が萎縮して胃がんになりやすくなります。この萎縮の程度は、胃粘膜から分泌されるペプシノゲンの血中濃度で測定できます。そこで、ピロリ菌の有無とペプシノゲンの濃度を組み合わせて、胃がんのリスクを判定するのが『ABC検診』です」。
最近始まったばかりの方法で、胃がんを発見するわけではありませんが、リスクのある人を効果的に拾い上げられると注目されています。
胃がんリスクの分類
Aタイプ
健康な胃
ピロリ菌がいない+ペプシノゲン値が陰性/胃がんの発生頻度はほぼゼロ。
Bタイプ
やや高め
ピロリ菌がいる+ペプシノゲン値が陰性/胃がん予防のために、ピロリ菌の除菌治療をおすすめします。
Cタイプ
高め
ピロリ菌がいる+ペプシノゲン値が陽性/胃粘膜の萎縮が進行。ピロリ菌を除菌し、定期的に胃カメラ検査を。
Dタイプ
かなり高め
ピロリ菌が以前はいたが今はいない+ペプシノゲン値が陽性/ピロリ菌もすめないほど、胃粘膜が萎縮。胃カメラ必須。
年間の胃がん発生頻度 80人に1人
イラスト/小迎裕美子 取材・原文/山村浩子