他人事ではないといわれる耳の不調。耳を守るために今からできる習慣を、医学博士の中川雅文先生にお伺いしました。
今までご紹介してきた「将来、難聴にならない方法」は、下のリンクから飛ぶことができます。
【特集】将来、難聴にならない方法
お話を伺ったのは
中川雅文さん
Masafumi Nakagawa
1986年、順天堂大学卒業。医学博士。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。国際医療福祉大学医学部教授。専門は耳鳴り、難聴、補聴器。著書に『「聞こえにくい」がなおる耳トレ』(大和書房)、『耳の聞こえがよくなるトレーニング』(PHP研究所)など
血流をよくして“脳の便秘”を解消!
「脳の神経細胞が活動すると副産物として“脳のゴミ”が発生するとお伝えしましたが、何らかの理由で血流が滞ると、このゴミが排出されなくなってしまいます。耳のためには質のいい睡眠をとり、いい音を聞くことで脳の血流をよくし、“脳の便秘”を予防、解消することが大切です」。
また、耳トラブルの多くは、動脈硬化による生活習慣病も一因に。生活習慣病を遠ざける食生活で動脈硬化を予防することが、聞こえをよくすることにつながります。
◆睡眠
脳にたまったゴミを一気に押し出すには、7~8時間の上質な睡眠が有効。レム睡眠・ノンレム睡眠を繰り返すことで起こる波が、脳の大きなゴミを押し流してくれます。
◆いい音を聞く
耳ストレスの解消には、「1/fゆらぎ」と呼ばれる自然界の音を聞くのも効果的。川のせせらぎ、海の波の音、風が木々を揺らす音、鳥のさえずり、虫の声などがおすすめ。
◆食
動脈硬化を防ぐためにも、油のとりすぎに注意してバランスのよい食事をすることが大切。また、炭水化物(糖質)をとりすぎると、脳のゴミがたまりやすくなります。
副交感神経と耳の関係
「人はイライラしたり緊張したりすると、つい耳たぶを触りがち。もともと耳の中には迷走神経という副交感神経が走っています。そこをなでてしまうのは、交感神経が優位になっている証拠。触ることでストレスを解消して、落ち着こうとしているのです。特に左耳や耳奥を触る人は、より強いストレスを感じています」
次回は、【耳を守る最新型耳栓(イヤープラグ)】などをご紹介します。
イラスト/いいあい 取材・原文/上田恵子