長引くマスク生活で口の中の環境は悪化しがち。体の入り口である口腔をケアすることは、感染症対策にも大切です。今、知っておきたい虫歯の悩みと疑問に、歯科医師の堀 滋先生がお答えします。
お話を伺ったのは
堀 滋さん
Shigeru Hori
歯科医師。サウラデンタルクリニック院長。海外の最新治療を学び、全身の健康につながる医療を追求
虫歯
昔に治療した歯がダメになる…そんな悩みが急増するOurAge世代。虫歯の基礎知識、治療するときに注意したいこととは?
●CHECK
- □ A 料理でよく砂糖を使う
- □ A 早食いで、あまり嚙まない
- □ A ガムや飴類、スイーツをよく食べる
- □ A 甘い飲み物をよく飲む
- □ A 水分補給にスポーツドリンクをよく飲む
- □ B 炭酸飲料をよく飲む
- □ B 酢が入ったドリンクをよく飲む
- □ B マヨネーズやドレッシングをよく摂取する
- □ B 柑橘類やキウイフルーツなど酸味のある果物をよく食べる
- □ B ゲップなどで胃酸が逆流することがある
Aが多い人は虫歯になりやすく、Bが多いと歯が溶けるリスクが高くなります。いずれも歯の健康のためには減らしたい食事習慣です
Q 毎日歯を磨いているのに虫歯になるのはなぜ?
A 口の中のpHが大きく関係しています
「普段、口の中は中性の状態ですが、食後数分で酸性に傾きます。それはミュータンス菌などの虫歯菌が、食事に含まれる糖を食べて酸を作るから。
すると、歯の表面からカルシウムやリン酸などの、歯を構成する成分が唾液中に溶け出します(脱灰<だっかい>)。しかしその後、唾液の力で中和されると、溶け出した成分は歯に戻ります(再石灰化)。
つまりミクロの世界では、食事のたびに『虫歯になる→元に戻る』を繰り返しています。ところが、間食が多かったり、唾液が少ないと再石灰化が間に合わず、やがて本格的な虫歯に。これを防ぐには歯磨きだけでは不十分で、間食を控えることが重要です」(堀滋先生)
●規則正しい食生活の場合
●頻繁に間食をする場合
間食をしない人は唾液により中性に戻りますが、間食が多いと酸性の状態が長く続くので、虫歯のリスクが高まります
イラスト/寺田久美 グラフ作成/ビーワークス 構成・原文/山村浩子