体力の低下、体の不調や病気への不安から、生活習慣を見直す機会が多くなる40代、50代。健康をサポートするアイテムとしてサプリメントを取り入れるのも手。上手な選び方、賢い活用法とは? 専門家のアドバイスをもとに学んでみましょう。
●アドバイスいただいたのは
和田政裕さん
Masahiro Wada
城西大学薬学部医療栄養学科教授。一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター理事。厚生労働省薬事・食品衛生審議会、内閣府消費者委員会などで、特定保健用食品や健康食品に関する科学性評価、安全性評価に10年以上携わる
後藤典子さん
Noriko Goto
日本サプリメント協会理事長。ジャーナリスト。政治・経済のジャーナリスト活動を経て、「健康とサプリメント」をテーマに取材活動を開始。2001年、日本サプリメント協会を設立。『サプリメント健康事典』(集英社)を監修
健康に生きるために今こそサプリメントを
日本人女性の平均寿命が87歳を超える今、「いかに健康で、老化を予防して健康寿命を延ばすことができるかが重要です」と話す和田政裕先生。
「加齢とともに食べる量が減ったり、ダイエットのために量を減らしたりする影響で、中高年以上になると、必要な栄養素が急速に欠乏する傾向があります。風邪を引きやすくなった、疲れやすい、などといった体調不良は、栄養素不足が原因のことも。年齢を重ねるほど、サプリメント(栄養補助食品)で栄養を補うことが必要です」
また、自らも不調をサプリメント摂取で乗り越えてきたという後藤典子さんは、「ビタミンやミネラルといった基本となる栄養をベースのサプリメントとしてとり、そこに悩みに合わせたサプリメントを加えていくのがよいと思っています」。
「昨年2020年から特に、免疫力が注目されました。私自身、ビタミンDのサプリメントを飲み続けていたら、風邪を引かなくなったと感じています。ほかにも老化予防として、抗酸化、抗糖化に働くコエンザイムQ10や、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、アントシアニンなどが入ったサプリメントを意識してとるとよいと思います。女性は、女性ホルモン減少を考慮して大豆イソフラボン由来の成分が配合されたものを取り入れるのもよいですね」(和田政裕先生)
基本はなるべく食事で栄養をとり、部分的に補うのがサプリメントの役割。例えばニンジンの栄養素としてβ-カロテンが有名ですが、それ以外にも無数の栄養成分が含まれています。たくさんの栄養を丸ごととれるのは自然の食材ならでは。
「山のようにサプリメントを飲んでも、食材が持つ栄養を全部とれるわけではないので注意を」と後藤典子さん。
またサプリメントの中でも機能性表示食品に注目を。機能性表示食品とは、事業者の責任で、科学的根拠をもとに商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品のこと。どの成分がどんな機能を持つかが書いてあるので、選ぶ基準にしやすいのです。栄養補助食品も機能性表示食品も、商品に関する情報をよく読んで、必要性を見極めてから活用しましょう。
40代、50代がサプリメントをとるメリットは?
- ・加齢とともに不足しがちな栄養を補うことができる。
- ・必要な栄養だけとれるので、不要なカロリーがカットできる。
- ・忙しい、時間がない、食事を何品目も作れない、という人に便利。
- ・病気とは診断されない、さまざまな不調に対して心強い味方に。
サプリメント、ここに注意
- ・品質の悪いものを選ばないよう、情報収集をきちんと行う。
- ・食事と置き換えるのはダメ。補助的なものとして利用を。
- ・薬との飲み合わせに注意。医師や薬剤師などに相談を。
- ・過剰摂取が病気につながる場合も。事前によく調査して。
イラスト/いいあい 取材・原文/國藤直子(STRIPE)