体に良い働きをするとされる二大善玉菌の中から、乳酸菌の注目機能をご紹介します。
知っておくと便利!
乳酸菌の注目機能
●小腸で免疫機能の向上をサポートする!
「乳酸菌は球状や棒状で、ヒトや動物の腸管以外に発酵食品や牛乳・乳製品、自然界にも棲息しています。酸素があっても棲息できるので、酸素がある小腸に多いのが特徴。糖を分解して大量の乳酸を作り出し、それによって腸内が酸性に保たれ、悪玉菌の増殖が抑えられます。小腸には全身の免疫細胞の約7割が存在し、乳酸菌は小腸で働いて免疫機能の向上を助けます」(齋藤忠夫先生)
資料提供/雪印メグミルク
- 菌の形:球状や棒状
- 棲息場所:おもに小腸、発酵食品
- 酸素があるところでの活動:できる
- おもな代謝産物:乳酸
おもな菌株と機能
●免疫機能強化
◆プラズマ乳酸菌
一般的な乳酸菌は一部の免疫細胞のみを活性化しますが、プラズマ乳酸菌は免疫の司令塔であるpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)を直接活性化し、免疫細胞全体を活性化します。
●NK活性を上げて免疫強化
◆1073Rー1乳酸菌
乳酸菌1073R-1株を使用したヨーグルトには、免疫システムの最前線で働くNK細胞の活性増強や、風邪への罹患リスク低下のほか、インフルエンザの抑制効果の可能性もあることが判明。
●便通改善
◆LB81乳酸菌
慢性的便秘が多い20歳前後の女性にLB81乳酸菌を使用したヨーグルトを食べてもらったところ、便通回数と量の増加、形状の適正化が認められ、お通じ全般が改善されたという報告が。
●内臓脂肪を減らすのを助ける
◆ガセリ菌SP株
「ガセリ菌SP株」入りヨーグルトを1日1個、12週連続摂取したグループは、「ガセリ菌SP株」を含まないヨーグルトをとったグループより、内臓脂肪面積の有意な減少を確認。
●ピロリ菌を減らす
◆OLL2716(LG21)
乳酸菌OLL2716を含むヨーグルトをピロリ菌感染者に1日2回、8週間とってもらう実験で、食べる前よりピロリ菌の活動が抑制され、胃の炎症の改善が認められたという報告があります。
●ストレス緩和・睡眠の質向上
◆プレミアガセリ菌CP2305
プレミアガセリ菌CP2305には心理的なストレスをやわらげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高めるのに役立つ機能があることが報告されています。そのほか、腸内環境の改善に役立つ機能も。
◆乳酸菌 シロタ株
乳酸菌 シロタ株を1本(100㎖)に1000億個含む飲料を継続的に飲むことで、一時的な精神的ストレスがかかる状況での、ストレスをやわらげる機能や、睡眠の質を高める機能があります。
●尿酸値の上昇抑制
◆乳酸菌PA-3株
乳酸菌PA-3株を含むヨーグルトをとっていたグループは、乳酸菌PA-3株を含まないヨーグルトをとっていたグループに比べ、食後の血清尿酸値の上昇が抑制されたことがわかりました。
●目や鼻の不快感に
◆乳酸菌ヘルべ
「乳酸菌ヘルべ」入りドリンクヨーグルトを12週間継続摂取すると、プラセボ群と比較して、目や鼻の不快感が有意に改善し、くしゃみの回数も有意に減少することが確認されています。
●口内環境を良好に
◆ロイテリ菌
ロイテリ菌は、悪玉菌の発育を抑えて口内の菌バランスを良好にし、歯茎を丈夫で健康に保つ機能があるほか、ビフィズス菌などの善玉菌と体内で共存することが報告されています。
お話を伺ったのは
齋藤忠夫さん
Tadao Saito
東北大学名誉教授。農学博士。乳酸菌研究および機能性ヨーグルト研究の第一人者。専門は、食品科学・応用微生物学。メディア出演も多数
イラスト/沼田光太郎 取材・原文/和田美穂