体にいい食べ合わせを突き詰めた「アダムスキー式腸活法」では、消化の速いものと消化の遅いものを同時にとらないことがいいとされていますが、そのワケとは? 医学博士の澤田幸男先生に詳しく伺いました。
ファストとスロー食材を同時にとらない
違う速度の電車を同じ線路に走らせ、前に遅い電車がいたらどうなるか? 当然、詰まって運行に支障が出ます。消化速度を考えずに食べたら、消化管でこれと同じ現象が起こります。
また、消化速度の違う食品を同時に摂取すると、消化管での流れが驚異的に遅くなることが実験で判明。
そこで「アダムスキー式腸活法」では、ファスト食品とスロー食品を同時にとらないこと、そして、きちんと間隔をあけて食べることを提唱しています。
これが「腸に隙間を作る」重要なポイントです。
腸に隙間を作る
たとえ理想的な食事を1日3食+軽食(おやつ)で食べたとしても、各消化器を通る時間を考えると、つねに食事5~6回分をお腹に抱えていることになります。
そこに消化物の渋滞が起こったら、排泄までに長時間かかり、腸内で腐敗してしまいます。腸の縦(消化)と横(吸収)の流れをスムーズに行うためには、消化管に隙間を作ってあげることが重要です。
1日の食べたものを追ってみると、朝8時にとった朝食は、胃から十二指腸で約4~5時間、小腸で約4~5時間滞在します。
その頃には昼食が入ってきて、朝食が大腸にいる頃には軽食や夕食も。結局、朝食が排泄されたのは約40時間後。つねに体には5~6回分の消化物を抱えているのです
フルーツと非加熱のオイルは必須
管が詰まったときや詰まり防止に、「パイプ洗浄剤」を使うように、消化管の詰まりに、その役割を果たすのがフルーツとオイルです。
フルーツは特に柑橘類を夕方にとるのが理想。トマトや唐辛子などのファスト食品も有効です。オイルは非加熱のものを多めにとることで、腸壁の汚れを洗い流す効果が。
エキストラバージンオリーブオイル、亜麻仁油、ココナッツオイルがおすすめです。
完璧でなくても続けることが大事
どんな食事方法も完璧に行うのは難しいもの。次回から具体的な取り入れ方を紹介しますが、完璧を目指すと、挫折してしまうかも。
世の中にはファスト食品とスロー食品の両方を使うレシピばかりなので、時には誘惑に負けて食べてもOK! できる範囲で取り入れていくといいでしょう。何より「続けること」が大切です。
その目安は8~12カ月。継続することで、腸内がきれいになり、消化力のアップが期待できます。
お話を伺ったのは
澤田幸男さん
Yukio Sawada
1957年生まれ。「澤田肝臓・消化器内科クリニック」院長。医学博士。専門は消化器内科。アダムスキー式腸活法を提唱する『腸がすべて』(東洋経済新報社)の監修を担当。神矢丈児氏との共著『腸が寿命を決める』(集英社新書)も
イラスト/木下綾乃 構成・原文/山村浩子