食事中の水分補給やちょっとした生活習慣で、消化力はアップします。前回に引き続き、医学博士の澤田幸男先生に今日から実践できる消化力を高める簡単なテクニックを伺いました。
“消化力”を上げるちょいテク集
食事中に水を飲みすぎない
健康のためにたっぷりの水分補給を心がけている人も多いのでは? 中には食事中に水分が欠かせない…という人も少なくありません。
「水分補給は大切ですが、食事中に大量の水を飲むのは感心しません。その理由のひとつは、食べたものをあまり嚙まずに、流し込んでしまう可能性があること。嚙む回数が減ると、消化を助ける唾液が十分に出なくなります。
また胃の消化液が薄まってしまうので、消化力が低下します。食事中の水はコップ1杯程度を目安に」
規則正しい生活は不可欠!
「体の中には体内時計があり、さまざまなホルモンなどを分泌して、体の機能を整えるようにプログラミングされています。自分の意思ではコントロールできず、これを正常に働かせるためには、規則正しい生活を送ることしかありません」。
便秘や不眠の解消などでも、繰り返し言われていることですが、さまざまな臓器の連携プレーで成り立っている消化の機能。これを高めるためにも、生活習慣を見直すことは不可欠です。
よく嚙むことが第1ステップ
消化チームで最初に活躍するのが口です。
「歯で細かく嚙み砕き、この嚙む動作によって唾液が分泌されます。唾液には糖質を分解する酵素が含まれているので、唾液の量が少なくて咀嚼(そしゃく)が不十分だと、胃や小腸での消化力が低下します。唾液をしっかり出すためにも、よく嚙むことが大切なのです」。
また嚙む回数が多いほど満腹感が得られるため、暴飲暴食の予防に。脳もリラックスすると考えられているので、ストレスの緩和にも。
お話を伺ったのは
澤田幸男さん
Yukio Sawada
1957年生まれ。「澤田肝臓・消化器内科クリニック」院長。医学博士。専門は消化器内科。アダムスキー式腸活法を提唱する『腸がすべて』(東洋経済新報社)の監修を担当。神矢丈児氏との共著『腸が寿命を決める』(集英社新書)も
イラスト/木下綾乃 構成・原文/山村浩子