猛暑が続く夏場になると、よく眠れなかったり、だるかったり…。そんな不調は、「体温リズム」が乱れているせいかも。健康のバロメーターである「体温」の神秘に迫ります。
答えていただいたのは
岡 孝和さん
Takakazu Oka
国際医療福祉大学医学部心療内科学主任教授。産業医科大学医学部講師、九州大学大学院医学研究院心身医学分野准教授を経て、2017年より現職。’20年より国際医療福祉大学成田病院心療内科部長を兼任
公式サイト
菅尾祐美さん
Yumi Sugao
テルモ メディカルケアソリューションズカンパニー ヘルスケア事業企画。体温計や血圧計などのヘルスケア製品、またテルモ体温研究所(ウェブサイト)の運営に携わる
体温のこと、どれだけ知ってる?
コロナ禍で、あちらこちらで何度も検温を求められる現在…改めて感じた「体温」の疑問。あなたはどれだけ把握していますか?
Q 37℃あったら発熱である
「平熱は人によって違い、一日の中でも約1℃の幅があるので、何℃以上なら発熱と一概に決めることはできません。
東京大学・田坂定孝先生の研究では、体温の平均値は36.89±0.34℃で、全体の約7割の人は36.6℃から37.2℃の範囲にありました。また、年齢によって体温は変わる場合があります」(菅尾祐美さん)
必ずしも発熱とは限りません
Q 平熱は年齢とともに下がる傾向がある
「乳幼児の体温は平均37℃近くと高く、年齢とともに下がり、10歳くらいで一定の値に落ち着きます。しかしその後、高齢になると再び低下し、高齢者は50歳以下の人と比べて、約0.2°C低いといわれています。
その原因は完全に解明されていませんが、筋肉量が低下して脂肪が増え、活動量が減ることによる代謝の低下などが関係していると考えられます」(岡孝和先生)
高齢になると生理機能が衰えるから
Q 体温は一日の中で変動するのが健康である
「体温は健康なときでも、一日の中で変動しています。早朝が最も低く、活動とともに上がり、夕方が最も高くなり、夜に下がりはじめます。その変動幅は1℃程度。ほかにも運動、食事、睡眠、気温、月経、感情の変化など、体調や環境によって体温はつねに変動しています」(岡孝和先生)
「一度、朝、昼、夕方、寝る前など一日複数回検温して、健康なときの体温リズムを知っておくと、体調管理に役立ちます」(菅尾祐美さん)
平均で1℃ほどの差があります
●健康な人の体温リズム(2日分)
体温は明け方4~6時が最も低く、夕方5~6時くらいが最も高温に。その後、深夜に向けて下がっていきます。
イラスト/いいあい 構成・原文/山村浩子