脳の掃除をサポートする不飽和脂肪酸、認知症予防の有用性が確認されている発酵食品など、脳の健康を保つ「新和食」を実現する法則を解説します。
不飽和脂肪酸で脳の掃除をサポート
脂質も健康維持に欠かせない栄養素。
「特に良質な油を意識してとることが大切。例えば、オリーブオイル、えごま油、魚に含まれるDHA・EPAなどは、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らし、脳の掃除をサポートしてくれます。
一方、肉の脂身などの動物性脂肪やマーガリンなどのトランス脂肪酸は極力避けたいところです」(沼津りえさん)
●魚油は認知症予防に有効
血液中のDHA濃度が高い人ほど、10年後の認知機能が低下しにくいという結果が。
DHA濃度と認知機能低下のリスク
機能性成分プラスで記憶力アップ!
例えば、ナッツ類は日本の調査では入ってきませんでしたが、欧米の食事方法では推奨されています。
「ナッツには抗酸化と抗炎症効果を持つ成分が豊富。特にくるみには記憶力アップや認知機能の低下を防ぐ効果が示唆されています。ちょっとお腹がすいたときのおやつや、サラダやスープなどの料理に加えれば、手軽に脳活ができます」
添加物は最小限で食材の味を楽しむ
便利な食品ほど添加物が多いもの。
「特にファストフードや市販の惣菜、菓子、菓子パンなどは、トランス脂肪酸をはじめ、添加物が多くなりがちなので、これらの食品の過剰摂取は避けたいもの。新鮮な季節の食材をシンプルに調理して、その味わいを楽しむ食事を心がけましょう」
発酵食品は脳を守るドクター
微生物の力で発酵して、体に有益な成分が増えたものが発酵食品です。
「食材本来の味に独特の風味が加わり、味も栄養価もアップします。例えば、ゆでただけの大豆に比べて、納豆のほうがビタミンB2は約7倍、葉酸は約3倍、ビタミンKは約85倍になるといわれています」。
日本でも欧米の調査でも、発酵食品の認知症予防の有用性が確認されています。ぜひ毎日の食事にプラスを!
お酒はほどほどに…が鉄則
お酒の中でも赤ワインに含まれるポリフェノールに強力な抗酸化作用があり、その健康増進効果が期待されています。これは地中海沿岸の地域で伝統的に食べられてきた食事内容、いわゆる地中海食を摂取していた人に認知症が少なかったというデータによるもの。
「とはいえ大量の飲酒は逆効果。1日グラス1杯を目安に、飲みすぎには注意が必要です」
監修
佐治直樹さん
Naoki Saji
国立長寿医療研究センター もの忘れセンター副センター長。兵庫県立姫路循環器病センター 神経内科(医長)、川崎医科大学脳卒中医学(特任講師・特任准教授)などを経て現職。研究内容は認知症のリスク因子と予防、腸内フローラとの関係
沼津りえさん
Rie Numazu
管理栄養士、料理研究家。料理教室COOK会主宰。製菓・製パン専門学校や老舗洋食レストランなどで料理の基礎を学ぶ。シンプルでおしゃれなレシピに定評があり、雑誌やテレビなどのメディアで活躍。企業向けのレシピ開発なども行う
撮影/神林 環 スタイリスト/洲脇佑美 構成・原文/山村浩子
◆認知症を予防する11品目を使った「新和食」レシピはこちら。