気持ちの良い眠りは、体温リズムを整えておくことが大切。夜の快眠のために朝からしておくべき行動とは?
朝
明け方から体温は上がりはじめ、体は活動を開始する準備をします。実は夜の快眠のためには、この朝の時間が最も大事です。
目覚めに関係しているのは体温だった!
「体温は夜になると下がりはじめ、明け方に最低に。そして起床する約2時間前から上昇を始め、体は活動の準備をします。体温が下がりきらないと熟睡できず、日中に疲れを持ち越すことに。この体温リズムを整えることが、快眠への重要なポイント」(岡 孝和先生)
寝起きの悪さは低血圧のせいと思っている人が多いのですが、それには根拠がなく、大切なのは体温だったのです。
朝日を浴びることで交感神経にスイッチ
「夜の快眠を得るためには、朝の光を浴びて、体内時計をリセットすることから始めます。すると睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が止まり、それから14~16時間後の夜に再び分泌されます。その作用で深部体温が低下して、眠気を感じるのです」(岡 孝和先生)
快眠への道は、「朝日」からスタートすることが肝心です!
朝食をとることでエンジン始動!
「食事をすると熱産生が起こり、深部体温が上昇します。反対に絶食状態では基礎代謝量が減り、深部体温も低下します。体温を上げて日中の活動モードをつくるために、朝食はとてもいいきっかけになり、体温リズムを整えるのに役立ちます」(岡 孝和先生)
特にタンパク質をしっかりとると体温アップに効果的だそう。
軽い運動で体温を高めて動ける体に
運動をすると体が温まる…という経験は誰にもあるでしょう。
「それは筋肉を動かすことにより、熱産生が起こり、深部体温と皮膚温が上昇するからです。朝、軽いストレッチなどで体を動かすことは、体を活動モードにするために有効です」(岡 孝和先生)
昼
体温は夕方まで上がり続けます。これは昼間に活動する人間に組み込まれたシステム。この時間はしっかり活動するのが〇。
太陽光を浴びてセロトニンを作る
「日中に太陽光を浴びると、睡眠ホルモンのメラトニンの原料となるセロトニンが作られます。セロトニンは精神を安定させる脳内物質。これが低下すると、うつっぽくなったり、睡眠の質が低下します」(岡 孝和先生)
昼間の活動内容は人それぞれですが、1日10~30分でも太陽光を浴びる時間をつくることが大切です。
疲れたら短時間の昼寝はOK
ランチ後にちょっと眠くなる人は多いのでは?
「睡眠不足やだるさを感じたときは、我慢するよりも、正午~午後3時くらいの間に20分程度の昼寝をするのがいいでしょう。脳や目、体の休息ができるので、その後の仕事の効率がアップします」(岡 孝和先生)
ただし、寝すぎると夜の睡眠に影響するので注意!
お話を伺ったのは
岡 孝和さん
Takakazu Oka
国際医療福祉大学医学部心療内科学主任教授。産業医科大学医学部講師、九州大学大学院医学研究院心身医学分野准教授を経て、2017年より現職。’20年より国際医療福祉大学成田病院心療内科部長を兼任
イラスト/いいあい 構成・原文/山村浩子