40代以降になると、唾液分泌の低下などから口腔環境が悪くなるといわれています。「メンテナンスしているのに奥歯が欠けた」「マウスピースをしても歯ぎしりが治らない」という声も多数。「歯も体の一部、全身で考えることが大事」という視点で歯科医療を行っている松浦敦先生に、「くいしばり」の体への影響を聞きました。
【教えていただいた方】
東京・日本橋にある桜通り歯科クリニック院長。嚙み合わせを専門に、歯だけでなく頸椎(けいつい)や頭蓋骨、全身の骨格バランスなどを診てケア
更年期以降のくいしばりや嚙み合わせトラブルを体の機能との関係で考える
更年期以降からくいしばりや嚙み合わせトラブルに悩まされているという声に、「体の衰えや、治療姿勢も考えたほうがいい」と松浦敦先生は提案します。
①口腔内も体と同じで年齢とともに衰え、変化します
「見た目も体も老いるように口腔内も唾液の減少だけでなく、歯の位置、舌の位置など年齢とともに衰えます。人によっては、急激に口腔内の衰えが出る人も」
②骨盤底や下半身の筋力の低下が嚙み合わせにも影響
「女性は更年期以降、骨盤底筋や下肢の筋力が衰えがちに。踏ん張れないと、立つ・座るなどの動作の際、力を入れるために、くいしばりが習慣化されます」
③40代後半から増える悪姿勢が奥歯に負担をかける
「歯は口腔内だけでなく全身に影響します。私が注目しているのが悪姿勢と歯の関係。ストレートネックやあごを突き出す姿勢は奥歯に負担をかけます」
④審美重視の歯科医療が嚙み合わせを悪化
「見た目で美しい歯と、体にとって機能的な歯には誤差があります。見た目重視の無理な審美歯科ケアでくいしばりが頻発するケースも少なくありません」
⑤ストレスなど根本的原因に着目しない歯科医療を疑う
「くいしばりや歯ぎしりはストレスも深く関与しています。その根本的な問題をケアしなければ、歯だけをケアしても繰り返し症状が起こる可能性があります」
桜通り歯科クリニック
一般の歯科医療だけでなく、全身を診ながらケアする独自の治療が話題になり、プロアスリートの治療も行っている(自由診療)。
東京都中央区日本橋兜町15-12
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イラスト/かくたりかこ 構成・原文/伊藤まなび