お酒は血糖値を上げない!
お酒好きにとっての朗報は…ロカボ食ではお酒はすべてOK! なことです。
「アルコール自体は血糖値を上げません。むしろ、タンパク質や脂質などと同様に、アルコールには血糖値の上昇を抑える働きが期待できます」(山田悟先生)
適度な量のお酒であれば、食事のときに飲んだほうが、血糖値対策になるというのです!!!
どんなお酒でもOKなのでしょうか?
「まず、ウイスキー、焼酎、ジン、ウォッカなどの蒸留酒は、もともと糖質ゼロなので、まったく問題ありません」
ワインや日本酒、ビールなどの醸造酒は糖質を含むといわれていますがどうでしょうか?
「ワインは白でも赤でも、スパークリングワインでも、辛口であれば糖質量はごく微量。3杯飲んでも5gもいきません。日本酒は1合に含まれる糖質量は8~9g程度。こちらも、主食を抜くなど、食事で調整すれば十分楽しむことができます。
また、ビールは以前には350mℓ1缶当たり約11gあり、警戒すべき酒のひとつでした。しかし、日本食品標準成分表の2015年版からは算出方法が変わり、利用可能炭水化物(単糖当量)をほとんど含まないことが報告されました。よって、血糖値を上げない酒ということになったのです」
ただし、ビールは銘柄によっては血糖値が上がったという報告もあるので、すべてのビールで「血糖値が上がらない」とは言い難い側面はあります。
「それでも、今までのように強く警戒したり、避ける必要はありません。気になる人は、最近では糖質ゼロや低糖質の発泡酒や日本酒もたくさん発売されているので、それらを選ぶといいでしょう。また、ビールは最初の1杯だけにして、途中でハイボールに切り替えるなどの方法もあります。いずれにせよ、工夫しながら楽しみましょう」
糖質はお酒と一緒にとったほうが、血糖値が上がりにくい!
また、こんな興味深いデータがあります。
6枚切りのパン3枚と一緒にとった飲み物ごとの血糖値の上昇
出典/Am J Clin Nutr. 2007;85(6):1545-1551
6枚切りの食パン3枚(480kcal)を食べる際に、一緒にとった飲み物で、血糖値の上昇具合を比べてみました。
比べた飲み物は、水0kcal (250mℓ)、ビール240kcal(約600mℓ)、白ワイン240kcal(約330mℓ)、ジン240kcal(約85mℓ)の4パターン。
結果、「食パン+水」という組み合わせが、最も血糖値が上昇したのです。つまり、糖質は酒と一緒にとると、血糖値の上昇が緩やかになるということ。
「お酒の種類は基本的にどれでもOKで、あとはおつまみでタンパク質と脂質をしっかりとるように心がけるのがポイントです」
ハイボールに鶏の唐揚げといった、以前ならカロリーを気にして躊躇していた組み合わせも、ロカボ食ではOK! 刺身、冷ややっこ、枝豆といった居酒屋メニューは優秀なロカボ食です。
また、お酒類に合うチーズも◎。カルパッチョや野菜にはオリーブ油をたっぷりかけるのがおすすめです。日本酒も2合程度なら、米飯を抜けば血糖値対策としては問題ありません。
「私の患者さんで、毎日飲み会があるような営業職の人がいました。食べ方をロカボ食にしただけで、まったく酒の量を控えることなく、血糖値や中性脂肪、肝臓機能の数値の改善に成功した人もいます」
「とは言え、酒の飲みすぎはNG! 適量を守り、おいしく楽しみながら、ストレスなしで糖質制限を実践していきましょう」
【教えていただいた方】
山田悟さん
北里大学北里研究所病院 副院長・糖尿病センター長。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医。多くの糖尿病患者と向き合う中、カロリー制限中心の食事療法では、食べる喜びが損なわれている現実に直面。患者の生活の質が高められる糖質制限食に出合い、積極的に治療に取り入れている。著書多数。
北里大学北里研究所病院 副院長・糖尿病センター長。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医。多くの糖尿病患者と向き合う中、カロリー制限中心の食事療法では、食べる喜びが損なわれている現実に直面。患者の生活の質が高められる糖質制限食に出合い、積極的に治療に取り入れている。著書多数。
取材・文/山村浩子