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【大腸がん】大腸がんになりやすい人をチャート解説。発症しやすい年齢は?/消化器専門医・千野晶子医師が解説

日本女性のがん死亡数の1位は大腸がんです。自身が大腸がんになりやすいかどうかを、遺伝的要因、環境要因、加齢要因からチェック。リスクがある人はすぐに大腸内視鏡検査を受けましょう。リスクが少ない人も、50歳を超えたら1度は内視鏡検査を受けて自分の腸の状態を把握しておくことが大切です。

大腸がんについて知っておきたいことQ&A
Q. 大腸がんになりやすいのは、どんな人? 発症しやすいのは何歳くらい?

A. 遺伝的要因以外に環境要因も! 60~80歳が要注意

大腸がんの発症には、後天的要因と遺伝的要因が関係しています(下図参照)。まず、後天的要因では60~80歳が発症しやすい年齢。さらに、環境要因が加わるとハイリスクになります。慢性便秘、運動不足、糖尿病、喫煙、腸内環境不良<腸内細菌叢(そう)の不良、炎症性腸疾患>があると大腸ポリープができる可能性が高く、ポリープの一部ががん化するリスクも高まります。

 

もうひとつの遺伝的要因については、次の質問で詳しく紹介しますが、原因となる遺伝子変異の有無が不明でも、血縁者に大腸がんの人がいる場合はリスクとなり、そこに後天的要因が加わればハイリスクとなります。

 

大腸がんのさまざまな要因

大腸がんのさまざまな要因 遺伝的要因なし

大腸がんのさまざまな要因 遺伝的要因あり

遺伝的要因と環境要因でリスクがわかります

遺伝的な要因以外にも、さまざまな環境要因と加齢で、大腸がんのリスクは高くなります。生活習慣で気をつけられることは、いろいろあります

 

後天的要因、遺伝的要因でリスクがあると思う人は、大腸内視鏡検査を行ったほうがいいです。リスクが少ないと思う人は、50歳までは便潜血検査でもいいと思います。しかし、50歳を過ぎたら、低リスクでも一度は大腸内視鏡検査を行って、自分の大腸の状態や性質を確認することをおすすめします。

50代になったら大腸内視鏡検査も視野に!/増田美加さんイラスト

 

Q. 家系内に発症が多い遺伝性の大腸がんとは?

A. 50歳未満で発症した血縁者がいたら要注意

大腸がん罹患者の中で、遺伝性のものは全体の約5%です。約95%の要因は年齢(60~80歳)と、慢性便秘や運動不足などの環境要因です。

大腸がん罹患者の比率

 

とはいえ、血縁者に大腸がんの人がいると心配ですね。現在わかっている遺伝性大腸がんには、「家族性大腸腺腫症」(FAP※)と「リンチ症候群」があります。

 

※FAP=Familial Adenomatous Polyposis

 

遺伝性の「家族性大腸腺腫症(FAP)」「リンチ症候群」とは?

●家族性大腸腺腫症(FAP)
ポリープがたくさん(100個以上)「大腸内視鏡検査をしないとわからない」

FAPは、大腸に良性のポリープ(腺腫)が100個以上発生します。良性の腺腫もがん化のリスクがあり、高い確率で大腸がんを発症します。しかし遺伝性大腸がんのうち0.8%と多くはありません。

 

【FAP(0.8%)が疑われるのは?】

  • ・ 若年(20〜50歳未満)発症の大腸手術をした家族がいる
  • ・ ポリープがたくさん〜無数に(数えきれないくらい)あると指摘される

 

●リンチ症候群
ポリープは少ない

リンチ症候群は大腸がんの2~3%といわれています。50歳未満の発症者に多く、ポリープは少なく、右側結腸(下図参照)がんが多いといわれています。

 

【リンチ症候群(2〜3%)が疑われるのは?】

  • ・ 若年(20〜50歳未満)発症のがん既徃
  • ・ 多発がん、多重がん(いくつも、いろいろなところに)
  • ・ 家族で大腸がん・子宮がんが多い(若年子宮体がん)
  • ・ 大腸がんの発症部位(右側結腸がん)
  • ・ 比較的稀ながん(粘液がん・低分化がん)

大腸の構造

 

大腸がんのほか、子宮体がんも発症しやすく、複数のがんが多発しやすくなります。遺伝性がんはいずれも50歳未満で発症しやすいので、血縁者の大腸がんが若年性なら、大腸内視鏡検査を行いましょう。

 

 

千野晶子
千野晶子さん
がん研有明病院 下部消化管内科 副部長
公式サイトを見る

東邦大学医学部卒業。昭和大学藤が丘病院消化器内科、がん研有明病院内視鏡診療部医長を経て現職。日本消化器病学会専門医、指導医、日本消化器内視鏡学会専門医、指導医ほか

 

 

イラスト/カツヤマケイコ 構成・原文/増田美加

 

 

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