大腸がんについて知っておきたいことQ&A
Q. 大腸がんに気づく、初期の自覚症状は何? 痔と大腸がんの見極め方は?
A. 早期は無症状。血便があれば大腸内視鏡検査を
早期の大腸がんは無症状で、症状が出たときは進行していることが多いのです。初期症状で比較的多いのは、血便、排便習慣の変化(急に便秘になったり、下痢になったり)、便が細くなる、水っぽい、残便感、体重減少、貧血など。血便は、便に粘液状の血液がついていたりします。血液だけがちらばるのは、痔(じ)の可能性が。しかし痔がきっかけで大腸がんが見つかることもあるので、自己判断せず、出血があれば大腸内視鏡検査を行ってください。
Q. 気になる症状があったら、何科を受診すればいい?
A. まずは胃腸科か消化器科で大腸内視鏡検査を!
血便があったら、大腸がんかどうかの診断をすることが大切。まずは胃腸科か消化器科で大腸内視鏡検査を受けてください。大腸全体を診る必要がありますが、肛門科は肛門周辺しか見ないことが多いのです。病院選びは、ホームページなどで大腸内視鏡検査数が多く、大腸がんの情報を熱心に掲載しているところがいいでしょう。
Q. 大腸がん検診は、どんな検査を受ければいい?
A. 症状がなくリスクも少なければ便潜血。あったら大腸内視鏡
症状がなく、リスク(遺伝的要因、慢性的便秘・糖尿病・喫煙などの環境要因)も少ない人は便潜血検査です。日本では40歳以上に便潜血検査による検診が市区町村単位で実施されています。検査結果が「要精密検査」となった場合は大腸内視鏡検査を行います。便潜血は1回の検査ではがんが見つからないこともあるため、毎年受けてください。リスクのある人、50歳以上で一度も受けたことがない人は、大腸内視鏡検査をおすすめします。内視鏡では直腸から盲腸までを詳しく観察し、病変があれば採取して病理検査をします。病変が大腸粘膜の表面(粘膜内か粘膜下層の浅い部分)にとどまっていれば、内視鏡で完全に切除することが可能です。
Q. 大腸がんを予防する方法はあるの?
A. 食生活や運動、排便習慣、禁煙などは大切です
大腸がんを予防するエビデンスのある方法はありません。しかし規則正しい食生活、適度な運動、排便習慣を整える(便秘をしない)、肥満防止、禁煙、アルコールを飲みすぎないなどはリスク低下につながります。また、大腸がんは遺伝性のものがあるので、血縁者に大腸がんの人がいたら早めに大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。
東邦大学医学部卒業。昭和大学藤が丘病院消化器内科、がん研有明病院内視鏡診療部医長を経て現職。日本消化器病学会専門医、指導医、日本消化器内視鏡学会専門医、指導医ほか
イラスト/カツヤマケイコ 構成・原文/増田美加