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乳がん完治まで5年?10年? ホルモン療法をいつまで頑張ればいいのか主治医に聞いてきました/50代。乳がんサバイバーになりました。

hijiri

hijiri

都内在住の50代会社員。2019年5月に乳がんと診断される。仕事を続けながら同年10月までに3回にわたる手術を経て、2020年1月に放射線治療が終了。現在は、10年間にわたるホルモン療法薬の服薬を継続、年に一度の検診で経過観察中。放射線治療中も継続したランニングの趣味が高じて、ランニングアドバイザー、スポーツ医学検定2級、ナヴィゲーションスキル ゴールドレベル等の資格を持つ。「琉球茶道ぶくぶく茶」東京分室主催。元おでかけ女史組メンバー。

 

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著者のhijiriさんは乳がん手術後、服薬によるホルモン療法を継続中。主治医にはホルモン療法を10年継続といわれたけれど、人によっては5年の場合もあることを知り…。つらい副作用ののぼせや発汗、不眠がなくなるなら5年で済ませられないのか? 10年なのは乳がんの状態が悪かったから? 湧き上がる疑問を主治医に確認しました。 

前回の記事で、乳がんの完治認定には10年かかると書きました。 私は当初から主治医にそう言われていたので、全く疑いもなく10年必要と思っていたのですが、記事をご覧になった方から「ガイドラインには最低5年とあるし、実際にそういう人もいるらしい、どちらが本当なのか?」というご質問をいただきました。

 

調べてみると、一般社団法人日本乳癌学会が提供している「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版」 に、確かに以下の記述があります。

 

“手術後の再発予防としてのホルモン療法は、これまで5年間の治療が最も多く行われてきました。しかし、最近の臨床試験や臨床研究から、術後5年以上経過した方でも再発するリスクがあることがわかってきており、そのような再発を防ぐために5年以上(計7~10年間)のホルモン療法をお勧めすることがあります。術後ホルモン療法をどのくらいの期間行うかは、再発予防の利益と副作用などの害とのバランスで決定します。”

 

つまり最低5年でOKなケースもあるということですよね。

 

5年で完治認定してもらえるなら、あと1年。
確かにそれなら副作用に苦しむのはあと1年で済むしうれしいけど、それってどう決まるんだろう?私は状態が悪いから長いの?

 

ちょっと不安になった私は、ちょうど定期検査の結果を聞くために主治医の予約があったので、期待も込めてあらためて聞いてみることにしたのです。

 

「完治までの期間が長い」と「症状が悪い」はイコールではないから

恐る恐る主治医に聞いてみたことを簡単にまとめると、こんな感じになりました。

 

・私のがんは、最初の初見のステージ1から、1mmの差分で最終的にはステージ2になっている。一般的に同じレベルの症例では10年で判断することが多い。
・極小ではあるもののリンパ転移もあったので、総合的に経過観察は10年が望ましいと判断した。(5年が最低レベルで、10年がよりいいというニュアンス)
・ただ、hijiriさんの「がん細胞の顔つき」は悪くないので、再発の確率が高いから長いわけではではない。
・(年齢は関係あるのかという質問に)年齢も関係ない。ただ遺伝的な乳がんの人は、新規発生も含めて長く経過観察の期間をとるケースもある。

 

20年ほど前は、乳がんの治療についてはもっとざっくりしたグルーピングで方針を決めていて、例えばリンパ転移があったら放射線治療、転移が分かればすぐに抗がん剤、というようなことも多かったようです。

しかし、今はブレスト専門の科も増え、人によっても症状も様々であることが理解されているため、ほぼパーソナルに判断をして治療方針を決めるようになってきているのだそう。 ガイドラインはあくまで基本的な治療についてなので、最低5年必要で、人によっては10年、と考えればいいとのことでした。

hijiriさん イラスト1

 

あと「がん細胞の”顔つき”」という表現について補足しますね。
検査結果を専門医が見れば、その状態や並び方で細胞の良性悪性などはだいたいわかるそうで、三段階ほどあるそうです。 私の場合は、顔つき1で細胞の並び方が2くらいですね、という評価。どういうことかというと、つまり細胞自体は性格がよさそう?で、完治までの期間が長いのは症状が悪いから、ということとイコールではないんですよ、ということらしいのです。
なんだかちょっと安心・・・。

 

結果的に、残念ながら私はやっぱり10年我慢(笑)コースは確定のようでしたが、単に病状が重いからなどという判断ではないという点ではほっとしました。

 

乳がん完治までの道のりは個人個人で全部違う

そういえば、みなさんは、手術=悪いものを全部除去した状態、と思っていませんか?

 

これは、私自身もちょっと勘違いしていたというか目からうろこだったのですが、手術でとるのはあくまで「がん化した細胞」であり、身体の中にはまだ「そのがん由来のがん化していない細胞」が存在している状態です。再発とは、今はおとなしくしているそれらの細胞ががん化することをいい、それが起こっていないことを確認することが経過観察の主な目的です。

 

なにを言いたいのかというと、このもともとの「がん細胞とまだそうなっていない仲間たち」とは別に、また新規のがんになることもあるのだということです。
例えば、遺伝的な乳がんは、この”一つの原因のがん”が再発・転移する、だけではなく、それらが完治してもまた”新しい原因のがん”が生まれる可能性が少し高めにあるのだとか。
そのために、再発の経過観察も含めて、長めにウォッチしていくのだということでした。

hijiriさん イラスト2

 

こういったケースはそこまで多くないそうで、主治医もあくまで参考として話してくれたのですが、私は今まで「新しいがん(原因)」が起こる可能性に思い至らず、なんとなく一度悪いものを全部とってしまったらあとは(残った細胞ががん化して)再発さえしなければOK、と思い込んでいたので、なるほどそういうケースもあるのかとちょっとびっくりしてしまったんですね。 言ってみれば、違うウィルスが原因で同じ病気になるようなものなのでしょうか。

 

そういう意味でも、さっさと完治の診断がされることは楽だしうれしいはずなのですが、なんらかの可能性が少しでもあるのであれば、長い経過観察もそれなりの意味があるのだと納得しました。

 

 

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