少しずつ寒い日が増え、インフルエンザなどの感染症が気になる時季になってきましたね。そんなときに食べたいのが、りんご。「りんごが赤くなると医者が青くなる」ということわざにもなるほどのりんごパワーについて学ぶべく、セミナーに参加してきました。
会場に到着すると、まず目に飛び込んできたのがこちらの5種類のりんごドリンク。左が一番甘く、右に行くほど酸味が強い品種ということで、一番左の「紅玉」をセレクトしてみました。飲んでみると、程よい酸味がありすっきりとした後味で、あっという間に飲み干してしまいました。
セミナーではまず、一般社団法人青森県りんご対策協議会副会長の大場勉さんが登壇。
大場さんによると、「日本の約9割のりんごが青森産で、約40種もあるりんごはそれぞれ味や食感が違います」とのこと、そんなに種類があるなんて驚きですね!
そして、1日1個のりんごが医者を遠ざける、ということわざのゆえんとなるりんごのパワーについて、スーパードクターの3人が教えてくれました。
◆朝、りんごを最初に食べるだけで内臓脂肪対策に!
まず登壇されたのは、池谷医院院長の池谷敏郎先生。内臓脂肪対策とりんごについてお話しくださいました。
最初に「みなさんは、健康診断を受けましたか?」と会場のみなさんに問いかけた池谷先生。今は40~74歳の人はメタボ検診が義務化されていますが、現代人は運動不足と食習慣の変化により内臓脂肪が蓄積しやすいそう。
「内臓脂肪がたまると、生活習慣病のリスクが上がるのはもちろん、血管にこぶができやすくなります。これが血栓となり狭心症や脳梗塞を起こしてしまい、まひや認知症などにつながって健康寿命が短くなってしまいます」(池谷先生)。メタボだけれども、血圧がそこまで高くないという人が、実は高リスクとのこと。誰でもリスクがあるのではと思うと怖いですね…。
特に朝ごはんで食事の最初に食べるといいそう。
というのも、りんごは食物繊維が豊富でGI値が36の低GI食品なので、血糖値の急上昇を抑えてくれます。また、塩分の排出を促すカリウム、抗酸化作用のあるビタミンCやβカロテンを含むので、動脈硬化を防いでくれるのだそう。これなら、忙しい朝にも取り入れやすいですね。
◆腸内のヤセ菌を増やすカギは、りんごにあり!?
続いて登壇されたのは、小林メディカルクリニック東京理事長・院長の小林暁子先生。腸の健康とりんごについてお話しくださいました。
「現代人の健康のカギを握るのは腸。腸内環境が悪いと便秘や下痢を起こすだけでなく、生活習慣病にもつながります」(小林先生)。今、脳と腸がお互いに密接に影響を及ぼす「脳腸相関」が注目されていますが、腸内環境が悪いと「認知機能の低下」などの可能性があるのだそう。全身の健康のためには、腸を意識しないとダメなんですね。
腸内環境というと、腸内に「ヤセ菌」が多いと食べ物から脂肪となる栄養の吸収を抑え、痩せやすい体になるとされています。最新調査によると、注目のヤセ菌は2つ。「アッカーマンシア菌」と「ブラウティア菌」があります。
小林先生によると、「アッカーマンシア菌」は美ボディを持つ人の腸に多く、この調査ではヨガやピラティスの女性インストラクターの6割が保有していたそう。同じく「ブラウティア菌」もインストラクターさんが多く保有していたのだとか。
スリムな人の腸に多いと聞くと、説得力がありますね。ぜひとも腸の中で増やしていきたいところですが、どうやったら増えるのでしょうか?
それには、ヤセ菌のエサとなる水溶性食物繊維、オリゴ糖、ポリフェノールなどをとることが大切だといわれています。りんごには水溶性&不溶性食物繊維やポリフェノールが豊富なので、まさにヤセ菌を増やすのにぴったりの食材ですね!
さらにこんな最新情報も。りんごにはさまざまなポリフェノールが含まれており、その半分以上がプロシアニジンというもの。実験で、肥満マウスがリンゴ由来プロシアニジン類を摂取したところ、デブ菌とヤセ菌の比率が改善し、アッカーマンシア菌が腸内で増加したという研究結果があるそうです。
りんごを食べることでヤセ菌を増やすことができたらいいですよね! 今後、人でも効果を期待できるのか、エビデンスを待ちたいところです。
◆美容のためにも、毎日のりんごが欠かせない!
そして最後に登壇されたのは、イシハラクリニック副院長の石原新菜先生。美容と健康とりんごについてお話しいただきました。
小林先生も脳腸関係についてお話しいただきましたが、石原先生のお話の中でも、腸の状態は体の健康はもちろん、心の健康にも影響するという話題がでてきました。「腸が整うことで、睡眠の質向上やストレス緩和などが期待できます」(石原先生)。
りんごは食物繊維が豊富で、腸内環境を整えてくれる食べ物。「私は赤ちゃんのときから毎日りんごにんじんジュースを飲んでいて、今では家族4人とチワワも飲んでいます。そのおかげか、15年間クリニックを休んだことも、風邪をひいたこともないんです」と語る石原先生。1日1個のりんごが医者を遠ざける、を体現されていますね!
また、りんごは美の栄養素もたっぷり。美白やコラーゲンの産生を助けるビタミンC、抗酸化作用のあるプロシアニジン、むくみを改善するカリウムが含まれています。毎日食べることで美容効果が期待できそう!
「りんごはどこでも簡単に手に入る食材なので、こんなに手軽にできる健康法はないですよね」という石原先生の言葉に、確かに!と大きくうなづいてしまいました。
◆スーパードクターが食べているりんごレシピを紹介!
りんごはそのままで食べてももちろん美味しいですが、毎日食べるならアレンジしてもいいですよね。そこで、先生方のりんごレシピを教えていただきました。
●りんごと白菜のサラダ
池谷先生は、皮付きのままのりんご1個、白菜3枚、ハム1枚を細かく千切りにし、ゆで卵をつぶしてのせ、ブロッコリースプラウトを散らしたサラダをご紹介。オリーブオイル大さじ1、酢大さじ1、塩こしょうを混ぜたドレッシングをかけるとおいしいそう!「ていねいな千切りほどおいしいですよ」とのことなので、細~く切ってつくってみたいですね。
●ホットケーキ~りんごソテー添え~
「罪悪感をなくすデザートです」と話す小林先生は、あれこれダメだと制限しすぎるのではなく、パンケーキで腸活してるのよ、と楽しくデザートを食べよう、という考えの持ち主。ポリフェノールを残すために、りんごはさっとソテーするか、500Wの電子レンジで1分程度の加熱に留めておくのがポイントだそう。
●りんごにんじんジュース
にんじん2本とりんご1こをジューサーにかけたジュース。これが1人前ということで、「いつも大量にりんごとにんじんを買い込んでいます」と石原先生。噛むように飲むジュースで、好みでレモンやキャベツ、ほうれん草などでアレンジしてもいいそうです。
朝ごはんに、おやつに、食事の付け合わせにと、いろいろなシーンでりんごを取り入れられそうですね。
会場ではそのほか、りんごの食べ比べも。酸味の強さや甘みの違いがそれぞれあって、「りんごってこんなに奥が深いんだ!」と驚いてしまいました。
スーパードクター3人を見習ってりんごを毎日食べる習慣をつけ、心も体も整えていきたいですね!
◆資料提供/一般社団法人 青森県りんご対策協議会
取材・文/倉澤真由美