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毎日コツコツ「ビタミンD活」で病気予防! では、ビタミンDの働きと摂取目安量って?

ビタミンDが健康にどれだけ大切かはわかっていても、紫外線によってつくられると聞くと、どうしても尻込みしがち。紫外線は避けたい、でもビタミンDは作りたい…。さあ、そのジレンマとどう闘いますか?  ビタミンDに詳しい医師の斎藤糧三先生が指南します。

 病気にならないビタミンDの必要量はどのくらい?

ビタミンDは、紫外線を浴びて皮膚でつくられる特殊なビタミン。食べ物にはごく少量しか含まれていません。

そもそもヒトの体は、日光に当たってビタミンDをつくるようにできています。

原始時代からそうだったはずが、現代人は紫外線をガードする生活が当たり前になってしまいました。

皮膚でつくられるビタミンDが大きく減少し、直近の大規模な研究・検証では「日本人の98%がビタミンD不足だった(注1)」という結果に。

(注1)The Journal of Nutrition誌Volume 153, Issue 4, p1253

日本人は皆、ビタミンD不足

 

ビタミンD不足による健康被害の代表は、更年期以降の女性が気になる骨粗しょう症。

それ以外にもインフルエンザなどの感染症、花粉症などのアレルギー、うつ、心疾患、がんなどさまざまな病気との関係も解明されつつあります。

では、ビタミンDを「充足」レベルに保つには、いったいどのくらいの量が必要なのでしょうか?

早くからビタミンDの重要性を訴え続けてきた医師の斎藤糧三先生に聞きました。

 

「必要量を確定するのはなかなか難しいところ。充足レベルの指標になる血中濃度は、食品からの摂取と紫外線による産生を合わせた指標であって、必要量と直接連動するものではありません。

しかも住んでいる場所、ライフスタイル、年齢などによって、紫外線によるビタミンDの合成量は個人差が大きいものです。

厚生労働省の食事摂取基準でも『必要量』は提示されておらず、設定されているのは食事からとる『目安量』(注2)だけ。

まずは外に出て日光を浴び、ビタミンDをつくってくださいよ〜、ということなんです。

 

 

確かに紫外線はシミ、シワたるみの原因です。

日焼けは絶対に嫌! と思うかもしれませんが、骨粗しょう症になったり、免疫が下がったりするのも嫌じゃないですか?

ビタミンDが不足しない賢い方法、病気の予防法を提案していくのが、私たち医師の使命だと思っています。

私が尊敬するビタミンDの研究者、米ボストン大学のホリック博士らは1日の必要量に関してさまざまな検証をし、数値を明示しているので、それを参考にしましょう」

(注2)「日本人の食事摂取基準(2022年版)」では、成人(18歳以上)の食事からとる目安量を1日8.5µg(340IU)としています。

 

ホリック博士とは、前回クローズアップした「ドクター・ビタミンD」ことビタミンDの世界的オーソリティです。

ホリック博士をはじめとするアメリカの内分泌学会の臨床実践ガイドライン(注3)によれば、血中ビタミンD濃度を「充足」レベルに保つために必要なビタミンDの量は…

 

成人(18歳以上)1日当たり

37.5µg〜50µg(1500IU〜2000 IU)

としています。

(注3)The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 96, Issue 7, 1 July 2011, Pages 1911–1930

 

*ビタミンDに関する説明の際、IU(アイユー)とµg(マイクログラム)というふたつの単位が出てきます。 IUとは国際単位(International Unit)の略で、生体に対する効力を示す単位としてWHO(世界保健機関)が制定しているもの。ビタミンDをはじめとする脂溶性ビタミンなどに対して用いられます。日本では食品表示法で重量単位で示すことが求められ、µgを使うのが主流になっています。

 

「このビタミンD量は、骨粗しょう症や骨軟化症にならないための最低限の量です。

さまざまな病気予防となると、私の臨床の感覚では1日に100 ㎍ (4000IU) は必要。

特に花粉症などアレルギー症状を軽減するにはそれくらい必要になりますね。

これはちょうど『日本人の食事摂取基準』の耐容上限量に当たる量。」

「紫外線=悪」じゃない! 害が出るまでの時間は意外に長い!

さて、どれくらい紫外線に当たればどれくらいのビタミンDがつくれるのか、そこは特に知りたいところです。

できれば、肌に害のない範囲にしたいものですが?

 

「これは国立環境研究所にデータがあります。緯度と季節、時間によって違うところに注目してください!

例えば、10µg(400IU)のビタミンD(注4)をつくるのに必要な時間を見てみましょう。

顔と両手の甲を出した状態で、夏の沖縄の正午なら5分ですが、冬の北海道では正午でも139分(2時間以上)です。

(注4)「骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン」2015年版(日本骨粗鬆症学会)において、治療におけるビタミンDの1日の推奨量は10~20 µg (400~800IU)です。

もし、これが半袖で半ズボン(ひざ下を出した状態)だと表面積が1200㎠になり、半分の時間で同じ量のビタミンDが合成できることになります。

 

環境によって体でつくられるビタミンDの量にはとても差があるため、足りない分は魚などの食品とサプリメントで補うのが理想です。

 

また、国立環境研究所の地球環境研究センターは『シミやシワの原因を避けながら、体に有益なビタミンDはしっかりつくる』というコンセプトのもと、紫外線と向き合っているリスペクトすべき研究所。

これまでの研究で、ビタミンDが生成されるまでの時間と、シミ・シワのリスクが発生する時間を比べたところ、シミ・シワのリスクが上がる時間は、十分なビタミンDができるまでのおよそ3倍ということがわかりました。

つまり、適切な時間であれば紫外線の悪影響を避けつつビタミンDをつくることができます。紫外線は思ったほどこわくないわけです」

 

なんと! 国立環境研究所の地球環境研究センターでは、肌に害なくビタミンDを10µg(400IU)生成できる最適な日光浴時間を、リアルタイムで情報提供しています。

モバイル用の簡易サイトは、最低限必要な情報が視覚的にわかりやすいので、ぜひ毎日の「D活」に役立てたいものです。

 

モバイル版「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報

PC版「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報

 

これは、モバイル版の画面。全国12カ所の地点の情報が速報値で見られるすごいサイトです!

 

紫外線から肌を守りつつ、ビタミンDもつくれる日焼け止めがあった!

ところで、ビタミンDをつくるために必要な紫外線は、限られた波長です。

地球に届くUVA派とUVB波のうちUVBのほう。その中でも290~310nmの波長で、最も多くビタミンDがつくられます。

一般の日焼け止め製品は、これらをほぼすべてシャットアウトしようとします。

 

そこで「ビタミンDをつくれる波長だけを通過させ、肌ダメージの原因になるその他の波長をカットすればいいのではないか」という発想から生まれたのが、オーストラリア生まれの日焼け止め「ソーラーD」。

ソーラーDは、UVBフィルタリング技術により、UVB の290 nmから310 nmだけが通過できるように設計。紫外線から肌を守りつつ、ビタミンDの生成を妨げない、まったく新しい日焼け止めクリームです。

 

なんと前出のホリック博士もソーラーDの機能性に注目し、研究・検証していました。

2020年に日本に初上陸し、徐々に全国に広がっています。

紫外線から肌を守りながらビタミンDを作れる、特許製法「UVBフィルタリング技術」は、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、カナダ、日本、インド、中国での特許取得済み(ヨーロッパ、ブラジル、タイで特許出願中)。 SPF50+・ PA++++/パラベン・PABA・グルテンフリー、無香料、ノンオイル、ウォータープルーフ

左:ソーラーD サンスクリーン 100ml ¥4,180・ 右3点:同じく40ml 各¥3,080/アンブロシア マルシェ 

 

 

【教えていただいた方】

斎藤糧三
斎藤糧三さん
医師/日本機能性医学研究所所長
公式サイトを見る
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1973年生まれ。日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年「日本機能性医学研究所」を設立(2009年に法人化)。2017年、スーパーフードとしての牧草牛(グラスフェッドビーフ)の普及を目指し、日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm」をオープン。2022年、機能性医学と再生医療を融合させた治療拠点として「斎藤クリニック」を開設。著書に『サーファーに花粉症はいない』(小学館)、『病気を遠ざける! 1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力』(講談社+α新書)ほか多数。斎藤クリニックSaito Farm

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イラスト/内藤しなこ  取材・文・画像制作/蓮見則子

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