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疲れにはワインよりもビールが効く(疲れ知らずのドリンク習慣)

水分補給をはじめ、ひと休みやお楽しみで飲むドリンク類。ほとんどの人が好みで選んでいると思いますが、実は何を飲むかで、疲れ方が変わってくるというのです。そんな、疲れを軽減する飲み物について、内科医で疲労に詳しい工藤孝文先生に伺いました。

朝起きてから、一日に何度となく口にするドリンク類。その目的は水分補給をはじめ、仕事の合間の小休止で気持ちを落ち着かせたり、やる気を出すために飲むこともあります。そんなドリンク類も、何を選んでいつ飲むか、ちょっとした工夫をすることで、疲労回復にひと役買ってくれます。工藤先生がおすすめする6つの工夫がこれ!

 

1 午後3時以降は断然、クエン酸パワーのレモン炭酸水!     

ランチが終わり仕事がしばらく続いた午後3時、そろそろ疲れもたまってくる頃です。この時間帯から飲むものは、ミネラルウォーターよりもレモン水やレモン炭酸水(糖質の入っていないもの)が疲れを癒してくれます。

 

「レモンの酸味であるクエン酸には疲労回復の作用があり、多く含まれるビタミンCの抗酸化作用が細胞の酸化を防ぎます。レモン水でもいいのですが、炭酸水には血流を促し新陳代謝を高め、老廃物を排出する効果があります。レモン炭酸水なら疲労回復のダブル効果が期待できます。

 

注意したいのは、レモンに含有するソラレンという物質が、紫外線に当たるとメラニン色素を作る働きがあります。摂取して強い太陽光を浴びると、日焼けやシミの原因になることも。そのため、飲用するのは紫外線が弱まる午後3時以降がおすすめ。晩酌にレモンサワーというのもいいですね。

 

ただし、糖質入りの甘いレモンジュースはNGです。水かただの炭酸水にレモンを搾るのがベスト。また、炭酸水は飲みすぎると、体を酸性に傾けることもあり、腸への刺激が強すぎると下痢や腹痛を起こすことも。くれぐれも飲みすぎには注意してください」(工藤孝文先生)

 

2 お疲れさまの一杯はビール!  ホップが疲れに効く 

疲れを取るにはワインよりビール。ビールを飲む女性のイラスト

仕事終わりや一日の終わりに晩酌をする人も少なくないでしょう。日本酒派、ワイン派とさまざまだと思いますが、最初の一杯に断然おすすめなのがビールなのだそう。

 

「ビールの醸造に使われる原料のホップには、疲労回復、鎮静作用、リラックス効果、食欲増進の効果があります。さらにエストロゲンに似た働きがあるフィストロゲンが含まれているため、ホルモンバランスを整える作用も期待できます」

 

「お疲れさま!」の一杯で疲れが取れる気がするのは、ちゃんと裏づけがあったのです。ただし、飲みすぎは禁物。かえって睡眠の質が低下して疲労回復ができないことも。350㎖の缶ビール1本程度がいいそうです。

 

3 紅茶やコーヒーにシナモンを加え、漢方ドリンクに! 

カプチーノやチャイ、アップルパイやドーナッツでおなじみのシナモン。独特の甘い香りが魅力のスパイスで、古代エジプトや中国でも昔から薬用として使われてきました。

 

「シナモンは体を温めて、血流をよくする効果があるので、冷え症、肩こり、腹痛、月経痛などをやわらげます。また、体内の余分な水分を排出する利尿作用で、むくみの改善やデトックス効果で体をすっきりさせ、脂肪細胞の減少、血糖値を下げる効果で、ダイエットにもいいといわれています。これらの多様な効果から、疲れない体にするためには最適なスパイスといえます」

 

シナモンはパウダーでもスティックでも効果は変わらないそう。紅茶やコーヒーに加えれば、即席の漢方ドリンクになります。

 

4 「緑茶コーヒー」は頭すっきり&気持ちを鎮める効果大 

疲れを取る緑茶コーヒーを作っている女性のイラスト

今日の食後やおやつタイムは、緑茶にしようか? それともコーヒー? とお悩みの人は、そのふたつをブレンドしてしまいましょう! なんと、このふたつを一緒に飲むと、デメリットを抑えながら、両方の健康効果がアップして、疲労回復に加えダイエット効果まで期待できるというのです。

 

「緑茶に含まれるテアニンとコーヒーに含まれるカフェインには、ともに利尿作用があるので、余分な水分や老廃物を排出します。また、緑茶のカテキンとコーヒーのクロロゲン酸が合わさると脂肪燃焼効果が高まります。

 

一方で、カフェインには覚醒作用や緊張させる作用がありますが、緑茶のテアニンがその効果をうまく緩和し、副交感神経を優位にしてリラックスさせてくれるのです」

 

つまり、頭をすっきりさせながら気持ちを落ち着けて、さらにダイエット効果も期待できる優れもののドリンクなのです。このふたつは同時に飲んでも、混ぜて飲んでもOKです。

 

5 はと麦茶でむくみ解消、代謝を高めて疲れ知らずに! 

「はと麦茶の原料であるはと麦はイネ科の植物で、漢方薬にもよく使われます。タンパク質は米や小麦の約2倍、ビタミンやミネラルが豊富で、食物繊維は米の約8倍ともいわれています。

 

特に、はと麦に含まれる成分ヨクイニンは、余分な水分や老廃物を体外に排出して、血流を促します。新陳代謝を高めることで、疲れやすい、冷え症、むくみやすいといった体質を改善して、美肌の効果も期待できます」

 

こうしたヨクイニンの効果ははと麦茶でも簡単にとることができます。ほかに、スープにはと麦を入れるなどして、継続的に摂取することが大切です。

 

6 水は常温か白湯でこまめにとるのが正解! 

美容と健康を考えて、水を1日1.5~2ℓ飲むことを目指している人も少なくないでしょう。もちろん水分補給は大切です。しかしながら、そのとり方が重要なのだといいます。

 

「水分が不足すると、体が脱水状態になり、熱中症のリスクが高まったり便秘の原因にも。一方で、とりすぎで代謝しきれない水分は、体を冷やし、東洋医学でいう「水滞(すいたい)」(※)の状態になり、疲れやすく体がだるくなるなど、かえって悪影響を及ぼすことがあります。

 

※水滞(もしくは水毒)は余分な水が体内にとどまって、気(エネルギー)や血(血液や体液)の巡りが悪くなっている状態。

 

飲み方は1時間半~2時間おきにコップ1杯(200㎖)の水を飲むのが目安。タイミングは起床後すぐ、食事の30分くらい前、運動の前後、入浴の前後、寝る30分くらい前など。喉が渇いたと感じたときには、すでに体は水分不足。渇く前に飲むことが大切です」

 

 

【教えていただいた方】

工藤孝文
工藤孝文さん
内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医
Twitter

福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後は大学病院などを経て、現在は福岡県みやま市にある自身のクリニックにて地域医療に注力。専門は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療、ダイエット治療など多岐にわたり、テレビ・ラジオなどのメディアで医療の最新情報を発信。著書に『「毎日疲れない」にいいこと 超大全』(宝島社)など多数。 工藤孝文先生 著書  

 

イラスト/midorichan 取材・文/山村浩子

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