晩秋から初春にかけては、いわゆるランナーにとってはオンシーズンです。特に1月~3月あたりは、東京や大阪、京都といった有名マラソン大会が開催される時期ですし、多くの市民ランナーがせっせと走り出す季節です。
目標とするレースで少しでも記録を伸ばすために、いつもより長距離走などのイベントや練習会が増えてくるのもこの頃。特に10kmや20kmの長距離を走ることは、レースのためには大事な練習なのですが、一人ではまずめげてしまうのでこういう場に参加する、という人も多いのです。
そんなとき、割とよく耳にするのが「自分は遅いから参加は無理」という言葉。速い人と一緒に走ると迷惑をかけるのでは、という思いからくるセリフです。何を隠そう、私もしょっちゅう言っていました。「だって迷惑かけそうだし、混ざるのは無理~」って。 でもね、今になってわかります。そんなことないんですよ、本当です。
応援しあえることが一番
私の周辺にはなぜか、通常の市民ランナーレベルを越えている人がたくさんいます。例えば、市民ランナーの最初の目標といわれる「サブフォー」。フルマラソンを4時間以内で完走することを意味するのですが、これはランナー全体の上位20~28%程度と言われているなかなか狭き門です。それなのに、私の周りは3時間以内で走りきる「サブスリー」がゴロゴロ。サブフォーなんてみんな口に出さないけどどう見ても“嗜みレベル”っぽい。基準がおかしい。
こんな環境だと、例えばみんなで集まって練習しようということになっても、私の走力では置いて行かれるのは目に見えています。そもそもついていけない。「だから行かないんだ」といった私に、ある仲間はこう言いました。
「大丈夫。一緒に走れなくても、応援しあうことはできる。練習だったら声を掛け合うだけでもやる気が出るし、一人で走るよりモチベーションもあがる。仲間が走っているのを見ればあきらめずに頑張ろうと思えるし、それだけでも意味がある。逆に遅い人をずっと待ったりフォローしたりもしないから、自分のペースで参加して大丈夫だよ。」
例えば、速い人が20km走っているときに、自分は10kmでもいいわけだと。もともとの力が違うのだから、自分のできる範囲で参加すればいいということです。 そして、確かに一緒に練習するほうが「きっつー、もうやーめた」にならない。スポーツジムに行ってしまったら、運動せざるを得ない雰囲気になりませんか? たぶんあれと同じ現象なのでしょうね。
結局、「遅いのが恥ずかしい」と思うから、参加できないと思い込んでいた、ということだと思います。
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一緒に楽しむことにベテランも初心者も関係ない
もちろん、この意見はいわゆる仕事として走るアスリートの方や陸上部の方などはまた違うと思いますし、「同じレベルでないといけない」という考え方のグループもあるかもしれません。考え方は人それぞれ。でも少なくとも私の周りにいるランナーでそういうことを言う人はいないので、OK意見のランナーも多いと思います。 ちゃんと確認して参加すれば仲間に入れてくれますし、それがまた自分のスキルアップになったりします。
練習会だけではありません。知り合いになった方がランニングをすると聞くと、私はすぐ「今度一緒に走りましょう」とお誘いしたりするのですが、そういう経験がない方こそ「私は初心者で遅いし、迷惑をかけるから」と遠慮されたりします。遊びで走るなら、スピードなんて関係ない。一緒におしゃべりしながらゆっくり走ることが楽しいのですから。 以前書いたマラニック(マラソンとピクニックを掛け合わせた造語で、景色や食を楽しみながら走ること)だってそうですし、そこに速さは関係ありません。
誰かと走ることは楽しいことです。恥ずかしいから一人で走るという方もいると思いますが、一人ってやっぱり飽きやすいし、義務になりがちな気がします。 どうせならランニングは楽しいものであってほしいし、仲間が増える楽しみを知ってほしい。きつい練習も仲間がいれば頑張れます。
ちょうどもう少しで桜の季節です。お花見を兼ねて誰かを誘ってゆっくりラン、なんてうきうきしませんか?一人も一緒も楽しめる、ランニングって奥が深いのです。