脳脊髄液の滞りは悪い座り姿勢が原因かも!?
私たちの体を循環している体液というと、「血液、リンパ液」を思い浮かべますが、その親分ともいえる重要なものが脳脊髄液です。
「この脳脊髄液は常に一定の量を生成し、脳と脊髄のまわりを満たして循環しています。これがうまくいかなくなると、さまざまな不調が現れます。
脳脊髄液の基本的な知識については第1回参照。
脳脊髄液が生成・循環が悪くなると起こる症状については第2回参照。
この脳脊髄液の生成・循環は、喉の奥のほうにある蝶形骨と頭の後ろ側の後頭骨をつなぐ「蝶形後頭底結合」の動きによってコントロールされています。このポンプ役の蝶形後頭底結合にダメージを受ける原因には大きく3パターンがあります」(片平悦子さん)
パターン1:出生時に原因がある場合
「赤ちゃんが産道を通るとき、お母さんの踏ん張りがきかなかったり、陣痛が弱いなどで、スムーズに出てこられない場合や、稀に帝王切開が原因になることもあります。
あくまで稀なケースですし、現在はこうしたことに細心の注意がされているので、帝王切開がいけないといっているわけではありません」
パターン2:事故などでむち打ちになった場合
「これは交通事故などで急激なショックを受けることで、脳脊髄液が流れている硬膜という袋が破れると、徐々に脳脊髄液が漏れてしまう『脳脊髄液減少症』になることがあります」
パターン3:悪い座り姿勢で仙骨に圧をかけている場合
「脳脊髄液の入れ物である硬膜は、頭蓋骨の内側にあり、脊柱の中かを通って仙骨※まで続いています。仙骨は左右を腸骨に挟まれていますが、ほんの少しだけ動くゆとりがあって、蝶形後頭底結合という脳脊髄液のポンプが動くと、連動して小さく動いています。
※仙骨は背中側の腰椎と尾骨の間にあります。尾骨の先に中指を置いて、手のひらを腰に当てたところが仙骨です」
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そんな仙骨が動かないようにロックされていたらどうでしょうか?
その大きな原因が悪い姿勢で座ることです。仙骨に体重や圧がかかった状態を長く続けていると、仙骨は動くことができません。
本来なら蝶形後頭底結合が動くと仙骨も自然に小さく動いているのに、体の重みで動けないとなると、ポンプにもマイナスの影響が表れます。結果として、脳脊髄液の生成・循環にも悪影響をもたらすことになります」
普段から仙骨の位置に注意を払うことが大事!
私たちが日頃気をつけることができるのは、このパターン3です。
あなたは普段、どのように椅子に座っているでしょうか?
「猫背の姿勢(イラスト左)で座っていませんか?
通常、正しい姿勢(イラスト右)で座っているときには、仙骨は座面に対して垂直になっているので圧はかかりません。しかし、椅子に浅く座って背中が丸まり、お尻が前方に滑ったような姿勢になると、骨盤が傾き、仙骨に圧がかかってしまいます」
こうした姿勢が癖になって、長時間過ごしているとしたら?
日本人は世界一、座っている時間が長いといわれています。どのように座っているかは脳脊髄液の生成・循環に大きく影響します。
日頃から、『自分の仙骨は今、どのような状態になっているのか?』という視点で、常に自分の姿勢を観察する習慣をつけてほしいと思っています」
【教えていただいた方】

一般社団法人日本パーフェクト整体普及協会(JPSA)代表。赤門鍼灸柔整専門学校(現、仙台赤門医療専門学校)卒業後、東北大学や金沢大学医学部で2年間の解剖学実習研究生を経て、1986年に仙台市にて鍼灸院を開業。25年の整体師経験からパーフェクト整体®️3大メソッドを確立し、2012年に上京。パーフェクト整体のリアルの講座は500人以上、オンライン講座では3000人以上が受講。著書は10冊あり、累計17万部を超えている。
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イラスト/かくたりかこ 取材・文/山村浩子